大学や専門学校への進学では、入学金や前期授業料、受験費用、ひとり暮らしの準備費用など、入学前後にまとまったお金が必要です。給付型奨学金や貸与型奨学金を利用できない場合だけでなく、採用されても振込時期に間に合わない、支給額だけでは足りないというケースもあります。
このような教育費の不足を補う選択肢が、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」です。主に保護者が申し込み、入学前の費用にも利用できますが、世帯年収の上限や審査があり、利息や保証料を含めた返済負担にも注意しなければなりません。
この記事では、国の教育ローンの利用条件、借りられる金額、金利、審査、必要書類、返済方法、奨学金との違いを整理したうえで、メリット・デメリットや向いている人まで解説します。
給付型・貸与型奨学金だけでは教育費をまかなえない方など、自分の家庭に適した方法か判断できるよう、文系博士の元教員が日本政策金融公庫などの公式情報をもとにまとめました。
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セクション1|国の教育ローンとは?最新の条件と結論
国の教育ローンとは、日本政策金融公庫が扱う「教育一般貸付」の通称です。原則として、大学や専門学校などへ入学・在学する学生の保護者のうち、主に生計を維持している人が申し込み、返済します。
給付型奨学金のようにもらえる制度ではなく、借りた元金に利息を加えて返済する教育ローンです。日本学生支援機構(JASSO)の奨学金とは、借りる人や資金を受け取る時期が異なります。
国の教育ローンの主な特徴は、受験前や合格発表前でも申し込めることです。JASSOの奨学金は原則として進学後に振り込まれるため、合格後すぐに納付する入学金や前期授業料には間に合わないことがあります。国の教育ローンは、このような入学前の資金不足を補う手段として利用できます。
国の教育ローンの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 教育一般貸付 |
| 取扱機関 | 日本政策金融公庫 |
| 主な申込者 | 対象となる学校に入学・在学する人の保護者のうち、主に生計を維持している人 |
| 融資限度額 | 子ども1人につき上限350万円 |
| 上限450万円になる場合 | 自宅外通学、修業年限5年以上の大学の昼間部、大学院、修業年限3か月以上の海外留学のいずれかに該当する資金 |
| 対象となる費用 | 今後1年間に必要となる入学金、授業料、受験費用、住居費、教材費、通学費、パソコン購入費など |
| 金利 | 年4.05%の固定金利・保証料別(2026年7月1日時点) |
| 優遇金利 | 一定の条件を満たす家庭は通常金利から年0.4%引き下げ |
| 返済期間 | 20年以内 |
| 返済方法 | 元金と利息を合わせた毎月の返済額が一定になる元利均等返済 |
| 在学中の返済 | 在学期間中は、元金を据え置いて利息のみを支払う方法も選択可能 |
| 保証 | 教育資金融資保証基金または連帯保証人 |
| 奨学金との併用 | JASSOなどの奨学金と併用可能 |
| 申込み時期 | 1年を通じて申込み可能。受験前・合格前でも申込み可能 |
金利は金融情勢によって変わります。実際に適用されるのは申込時ではなく、融資を受ける時点の金利です。
年0.4%の金利優遇を受けられるのは、交通遺児家庭、母子家庭、父子家庭、世帯年収200万円以内の家庭、または扶養する子どもが3人以上で世帯年収500万円以内の家庭です。事業所得者の場合は、世帯年収200万円が所得132万円、世帯年収500万円が所得356万円に置き換わります。
2026年7月1日時点の通常金利から計算すると、優遇後の金利は年3.65%です。子どもの人数は、申込者の世帯で扶養している子どもの人数を指し、年齢や就学の有無は問われません。
教育資金融資保証基金を利用する場合は、融資額や返済期間に応じた保証料がかかります。保証料は融資金から一括して差し引かれるため、決定した融資額の全額が口座へ振り込まれるわけではありません。
国の教育ローンは入学前の資金不足を補いやすい
国の教育ローンの大きな利点は、奨学金の振込みが始まる前に必要となる費用を準備できることです。
たとえば、大学へ進学する場合、合格後の短い期間内に入学金や前期授業料の納付を求められることがあります。自宅外へ進学する場合には、アパートの敷金や家賃、パソコン購入費なども必要です。
給付型奨学金やJASSOの貸与型奨学金に採用されていても、これらの費用を支払う時点では、まだ奨学金が振り込まれていない可能性があります。国の教育ローンは、このような支払い時期のずれを埋める方法として活かせます。
ただし、国の制度だからといって、必ずしも金利が低いとは限りません。2026年7月1日時点の金利は年4.05%であり、教育資金融資保証基金を利用する場合には保証料も必要です。
そのため、国の教育ローンを最初から上限額まで借りるのではなく、まず給付型奨学金や授業料減免、無利子の貸与型奨学金を確認することが重要です。それでも不足する金額を計算し、毎月の返済額と総返済額を確認したうえで、必要な範囲だけ借りるのが基本です。
セクション2|給付型・貸与型奨学金が使えない・足りない場合の活用方法
国の教育ローンは、給付型奨学金や授業料減免、無利子の貸与型奨学金を確認したうえで、それでも不足する教育費を補うために利用するのが基本です。
返済不要の支援を利用できる可能性があるのに、最初から教育ローンを選ぶ必要はありません。一方、奨学金の対象にならなかった場合や、採用されても必要な教育費を賄えない場合には、国の教育ローンが進学を断念しないための選択肢になります。
奨学金を利用できなかった場合
給付型奨学金や貸与型奨学金には、家計、学業成績、在籍する学校、申込時期などの条件があります。そのため、進学費用が不足していても、必ず奨学金を利用できるわけではありません。
また、奨学金ごとに募集時期が決まっているため、制度を知った時点ですでに申込みが終了している場合もあります。給付型奨学金や無利子の貸与型奨学金を利用できなかったときは、返済が必要なことを理解したうえで、国の教育ローンを検討できます。
ただし、奨学金に採用されなかったからといって、国の教育ローンを必ず利用できるわけではありません。国の教育ローンには世帯年収の上限があり、申込み後には収入、勤務状況、既存の借入れ、各種料金の支払状況などを踏まえた審査があります。
奨学金だけでは教育費が足りない場合
給付型奨学金や貸与型奨学金を利用できても、入学金、授業料、施設設備費、教材費、通学費、住居費などをすべて賄えるとは限りません。
特に、自宅外から大学や専門学校へ通う場合は、授業料以外に敷金や家賃、通学費、パソコン購入費なども必要になります。奨学金だけでは不足する場合は、その不足額を国の教育ローンで補うことができます。
国の教育ローンとJASSOの奨学金は併用可能です。ただし、利用できる制度をすべて上限まで借りるのではなく、次の順序で不足額を計算します。
必要な教育費
-家庭で準備できる自己資金
-授業料減免や給付型奨学金
-無利子の貸与型奨学金
-有利子の貸与型奨学金
=国の教育ローンで補う金額
たとえば、今後1年間に必要な教育費が150万円で、自己資金を50万円、給付型奨学金や授業料減免で40万円、貸与型奨学金で30万円を準備できる場合、残る不足額は30万円です。この場合、国の教育ローンで検討する金額は、上限の350万円ではなく不足する30万円が基本になります。
実際には、それぞれの支援を受け取れる時期も確認する必要があります。将来受け取れる奨学金を差し引けば年間の教育費を賄えても、入学金の納付期限までに必要なお金を準備できなければ、入学前の資金は不足するためです。
奨学金の振込みが入学手続きに間に合わない場合
JASSOの奨学金は、高校在学中に予約採用の候補者となっていても、入学前に振り込まれるわけではありません。進学後に進学届などの手続きを行い、その後に奨学金の振込みが始まります。
JASSOには「入学時特別増額貸与奨学金」もありますが、名称に「入学時」とあっても入学前に貸与される制度ではありません。第一種奨学金または第二種奨学金に加えて、入学した月の奨学金に一時金を上乗せする有利子の制度です。入学時特別増額貸与奨学金だけを単独で借りることもできません。
そのため、合格後すぐに納付期限を迎える入学金や前期授業料については、JASSOの奨学金だけでは間に合わない可能性があります。家庭の自己資金で支払えない場合は、国の教育ローンを入学前の資金として利用する方法があります。
ただし、納付期限まで時間がない場合でも、すぐに借入れを決める必要はありません。まず進学先に、入学金や授業料の延納・分納が可能か、学校独自の減免制度や緊急支援制度がないかを確認します。それでも納付期限までに不足する金額が残る場合に、国の教育ローンを検討します。
不足する「金額」と不足する「時期」を分けて考える
教育費を準備するときは、最終的にいくら不足するかだけでなく、いつまでにいくら必要かを確認することが重要です。
年間の教育費は奨学金で賄えても、最初の振込みより前に入学金を支払う必要があれば、一時的な資金不足が発生します。反対に、入学時の費用は準備できても、毎月の家賃や生活費が継続的に不足する場合は、一括で受け取る国の教育ローンより、毎月貸与されるJASSO奨学金のほうが管理しやすいことがあります。
国の教育ローンを検討するときは、給付型・貸与型奨学金の採否と金額だけでなく、振込時期と学校への納付期限も確認し、本当に不足する金額だけを借りることが大切です。
セクション3|利用できる人・対象校・年収条件
国の教育ローンを利用できるのは、対象となる学校へ入学・在学する人の保護者で、世帯年収が定められた上限額以内の人です。
保護者以外の親族や学生本人が申し込める場合もありますが、誰でも利用できるわけではありません。申込者、学校、世帯年収の3つの条件を満たしたうえで、返済能力などの審査を受ける必要があります。
原則として保護者が申し込む
国の教育ローンは、原則として、対象となる学校に入学・在学する人の保護者が申し込みます。両親がいる場合は、そのうち主に生計を維持している人が申込者になります。
学生の祖父母や兄弟姉妹、おじ・おばなどの親族が申し込める場合もあります。申込者になれる親族の範囲は、6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族です。
ただし、親族であれば無条件に利用できるわけではありません。実際に申込者となる人の収入、勤務状況、既存の借入れ、支払状況などが審査されます。
学生本人が申し込める場合
成人しており、勤務収入などの安定した収入があり、親から独立して生計を営んでいる場合は、学生本人が申し込めることがあります。働きながら大学や専門学校で学び直す社会人などが該当します。
一方、入学後に仕事を辞めたり勤務時間を大幅に減らしたりして、学業に専念する場合は、本人による返済の見通しを立てにくくなります。この場合は、両親のうち主に生計を維持している人や、条件を満たす親族が申し込むのが原則です。
学生本人が申込者になる場合、申込者本人は世帯年収上限を判定する際の「子どもの人数」には含まれません。本人に扶養している子どもがいなければ、子どもの人数は0人として扱われ、年収上限は給与所得者が790万円、事業所得者が所得600万円となります。
また、海外の学校への進学や留学によって今後国外に居住する場合は、学生本人ではなく、6親等以内の血族、配偶者または3親等以内の姻族が申し込みます。
対象となる学校
融資の対象となるのは、原則として、修業年限が3か月以上あり、中学校卒業以上の人を対象とする教育施設です。
主な対象校は次のとおりです。
高等学校
高等専門学校
特別支援学校の高等部
短期大学
大学
大学院
法科大学院などの専門職大学院
専修学校
各種学校
予備校
デザイン学校
職業能力開発校などの教育施設
外国の高等学校
外国の短期大学・大学・大学院
外国の語学学校
学校教育法に基づく大学や専門学校だけでなく、一定の予備校や各種学校、外国の語学学校なども対象になります。ただし、学校名や教育施設の種類だけで判断できない場合もあるため、対象になるか分からないときは申込み前の確認が必要です。
対象外となる学校や在籍形態
大学や短期大学などに通う場合でも、正規の学籍で在籍しない研究生や聴講生の費用は対象になりません。
このほか、学生が公務員として通う防衛大学校、防衛医科大学校、航空保安大学校、海上保安大学校、海上保安学校、気象大学校、税務大学校なども対象外です。
学費がかからない企業内学校や、特定企業の従業員が給与を受け取りながら教育・訓練を受ける企業内教育訓練施設も対象になりません。
また、小学校や中学校などの義務教育期間中に必要となる費用は、国の教育ローンの対象外です。
子どもの人数別の世帯年収上限
| 扶養している子どもの人数 | 給与所得者の世帯年収上限 | 事業所得者の世帯所得上限 |
|---|---|---|
| 1人 | 790万円 | 600万円 |
| 2人 | 890万円 | 690万円 |
| 3人 | 990万円 | 790万円 |
| 4人 | 1,090万円 | 890万円 |
| 5人 | 1,190万円 | 990万円 |
給与所得者は「年収」、自営業者などの事業所得者は「所得」で判定します。世帯年収には、申込者だけでなく、世帯主や配偶者などの収入も含まれます。
ここでいう子どもの人数とは、申込者の世帯で扶養している子どもの人数です。年齢や就学の有無は問われないため、すでに学校を卒業していても、扶養している子どもであれば人数に含まれます。
扶養する子どもが6人以上の場合は、教育ローンコールセンターへの個別確認が必要です。
子どもが1人・2人の場合は年収上限が緩和されることがある
扶養する子どもが1人または2人の場合でも、次のいずれかに該当すれば、給与所得者は世帯年収990万円、事業所得者は世帯所得790万円まで上限が緩和されます。
1.申込者の勤続年数または営業年数が3年未満
2.現在の住所での居住年数が1年未満
3.世帯のいずれかの人が自宅外通学中、または自宅外通学を予定している
4.申込者またはその配偶者が単身赴任している
5.今回の融資を海外留学資金として利用する
6.申込者の年収または所得に占める借入金返済の負担率が30%を超えている
7.親族などに要介護または要支援の認定を受けている人がおり、その介護費用を負担している
8.大規模な災害による被害を受けている
借入金返済の負担率は、申込者が今後1年間に返済する借入金額を、申込者の年収または所得で割って計算します。
年収上限の緩和を利用する場合は、自宅外通学、単身赴任、介護費用の負担などを確認できる追加書類が必要になることがあります。
前年の年収が上限を超えていても申し込める場合がある
年収や所得は、原則として前年1年間の金額を確認されます。ただし、前年の世帯年収が上限を超えていても、退職、転職、勤務時間の減少などにより、今年の世帯年収が上限以内になる見込みであれば、利用できる場合があります。
この場合は、今年の収入が減少する見込みを確認できる書類の提出を求められる可能性があります。前年の年収だけで対象外と判断せず、日本政策金融公庫へ確認することが大切です。
年収条件を満たしても融資が決まるわけではない
世帯年収の上限は、国の教育ローンへ申し込むための条件です。上限以内であれば希望額を必ず借りられるという意味ではありません。
申込み後は、勤務・営業の状況、収入・所得、既存の借入れ、住宅ローンや公共料金の支払状況などをもとに総合的な審査が行われます。年収条件を満たしていても、審査結果によっては希望額を減らされたり、融資を受けられなかったりする場合があります。
セクション4|いくら借りられる?融資限度額と使い道
国の教育ローンの融資限度額は、原則として子ども1人につき350万円です。自宅外通学や大学院への進学など、一定の条件に該当する場合は、子ども1人につき上限450万円まで利用できます。
ただし、上限額まで無条件に借りられるわけではありません。融資の対象になるのは今後1年間に必要となる費用であり、実際の融資額は、費用の内容や審査結果によって決まります。
原則として子ども1人につき350万円まで
通常の融資限度額は、子ども1人につき350万円です。
子どもが2人いる場合は、世帯全体で350万円ではなく、それぞれについて上限が設定されます。たとえば、上の子の教育費として融資を受けている場合でも、下の子について別に申し込むことができます。
ただし、融資限度額は申込み1回ごとの金額ではありません。同じ子どものために複数回借りる場合は、現在の借入残高を含めて350万円以内に収める必要があります。
上限450万円まで借りられる場合
| 対象となる資金 | 融資限度額 |
|---|---|
| 自宅外通学に必要な資金 | 450万円 |
| 修業年限5年以上の大学の昼間部に必要な資金 | 450万円 |
| 大学院に必要な資金 | 450万円 |
| 修業年限3か月以上の海外留学に必要な資金 | 450万円 |
| 上記以外の教育資金 | 350万円 |
「自宅外通学」とは、進学者・在学者が自宅を離れて通学する場合を指します。大学名や学部名だけで一律に450万円になるのではなく、今回申し込む資金が上記の条件に該当する必要があります。
また、修業年限5年以上の大学については、昼間部が対象です。大学院は修士課程や博士課程だけでなく、法科大学院などの専門職大学院も対象に含まれます。
在学中でも追加融資を申し込める
融資限度額の範囲内であれば、入学時に一度借りた後、在学中に追加融資を申し込むこともできます。
追加融資で借りられる金額は、最初に借りた金額ではなく、追加申込時点の借入残高を基準に計算します。
たとえば、通常の上限350万円が適用される子どものために250万円を借り、その後の返済によって借入残高が230万円になっている場合、追加で申し込める上限は次のとおりです。
350万円-借入残高230万円=追加申込みの上限120万円
ただし、追加融資も改めて申込みと審査が必要です。一度審査に通ったからといって、次回の融資が自動的に認められるわけではありません。
対象になるのは今後1年間に必要な費用
国の教育ローンは、大学4年間分など、在学期間全体の費用をまとめて借りる制度ではありません。融資の対象になるのは、申込み時点から今後1年間に必要となる教育費です。
2年目以降の授業料などが必要になった場合は、融資限度額からその時点の借入残高を差し引いた範囲内で、改めて申し込みます。
そのため、4年間の教育費総額が350万円または450万円を超えていても、その総額を一度に借りることはできません。申込みごとに、今後1年間に必要となる金額と使い道を示す必要があります。
学校へ支払う費用に利用できる
国の教育ローンは、次のような学校納付金に利用できます。
入学金
授業料
施設設備費
実験・実習費
その他、学校へ納付する教育関係費
学校から受け取った募集要項、入学案内、授業料納付通知書などにより、必要な金額を確認します。
高等教育の修学支援新制度などによって入学金や授業料が減免される場合、減免される金額は原則として融資の対象になりません。減免後に実際に支払う金額を基準に、申込額を計算する必要があります。
受験に必要な費用にも利用できる
進学後の学費だけでなく、受験段階で発生する次の費用にも利用できます。
受験料
受験会場までの交通費
受験時の宿泊費
進学する学校の入学金
滑り止めとして受験した学校の入学金
最終的に進学しなかった学校であっても、滑り止めとして受験した学校の受験費用や入学金は対象になります。受験費用は、志望校への合格前でも申し込めます。
自宅外通学の住居費にも利用できる
進学のために自宅を離れる場合は、次のような住居費にも利用できます。
アパートやマンションの敷金
入居後の家賃
学生寮の費用など
住居費を申し込む場合は、不動産賃貸借契約書や入居予定の物件明細など、必要額を確認できる書類を求められることがあります。
教材費や通学費などにも利用できる
学校へ直接納付する費用以外にも、在学するために必要な次の費用が対象になります。
教科書代
教材費
通学費
定期券代
塾・予備校代
パソコン購入費
修学旅行費
学生本人の国民年金保険料
教育資金融資保証基金の保証料
パソコンなどを購入する場合も、教育や在学のために必要な費用であることが前提です。申込時には、学校案内、見積書、請求書など、金額と使い道を確認できる資料をできるだけ準備します。
融資の対象にならない費用
次の費用は、国の教育ローンの対象になりません。
今後1年間より先に必要となる教育費
小学校や中学校など義務教育期間中の費用
高等教育の修学支援新制度などによって減免される入学金・授業料
留学先へ提出する財政能力証明書を作成するため、銀行口座へ預けるだけの資金
正規の学籍で在籍しない研究生や聴講生の費用
対象外となる学校や企業内教育訓練施設の費用
教育に関係しているように見える費用でも、制度上の対象にならない場合があります。使い道が対象になるか判断しにくい場合は、申込み前に確認する必要があります。
上限ではなく不足額を基準に借りる
融資限度額の350万円または450万円は、借りることが推奨されている金額ではありません。あくまでも制度上の上限です。
まず、今後1年間に必要となる教育費を項目ごとに整理し、自己資金、給付型奨学金、授業料減免、貸与型奨学金などを差し引きます。そのうえで、納付期限までに準備できない金額を国の教育ローンで補います。
利用できる上限額ではなく、実際に不足する金額を基準に借入額を決めることが、利息と将来の返済負担を抑えるための重要なポイントです。
セクション5|最新金利・保証料と借入額別の返済シミュレーション
国の教育ローンを比較するときは、表示されている金利だけでなく、返済期間中に支払う利息と保証料を含めて考える必要があります。
特に、教育資金融資保証基金を利用する場合は、保証料が融資金から差し引かれます。希望どおりの融資額が決まっても、その全額を教育費として受け取れるわけではありません。
2026年7月1日時点の金利は年4.05%
国の教育ローンの金利は、2026年7月1日時点で年4.05%です。融資を受けた後に金利が変わらない固定金利で、教育資金融資保証基金を利用する場合の保証料は含まれていません。
金利は申込時ではなく、実際に融資を受ける時点のものが適用されます。日本政策金融公庫では、原則として年2回、5月と11月のそれぞれ1日前後に金利を見直していますが、市場金利が大きく変動した場合は、それ以外の時期に改定されることもあります。
そのため、申込みを検討している時点で年4.05%と表示されていても、実際に融資を受けるときには金利が変わっている可能性があります。
一定の家庭は金利が年0.4%引き下げられる
次のいずれかに該当する場合は、通常金利から年0.4%引き下げられます。
交通遺児家庭
母子家庭
父子家庭
世帯年収200万円以内の家庭
事業所得者で世帯所得132万円以内の家庭
扶養する子どもが3人以上で世帯年収500万円以内の家庭
扶養する子どもが3人以上で、事業所得者の世帯所得が356万円以内の家庭
2026年7月1日時点の通常金利は年4.05%のため、優遇を受けた場合の金利は年3.65%です。
母子家庭または父子家庭とは、主に、配偶者のいない人が子どもを扶養している申込者の世帯を指します。扶養する子どもの人数は、年齢や就学の有無を問わず判定されます。
保証基金と連帯保証人から選択する
| 保証方法 | 保証料 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 教育資金融資保証基金 | 必要 | 保証料が融資金から一括して差し引かれる |
| 連帯保証人 | 不要 | 条件を満たす親族へ依頼し、収入証明書などを提出する必要がある |
教育資金融資保証基金を利用すれば、親族へ連帯保証人を依頼する必要はありません。ただし、融資額と返済期間などに応じた保証料がかかります。
保証料は融資時に別途支払うのではなく、融資金から一括して差し引かれます。たとえば、100万円の融資を受けても、保証料が6万円なら、実際に口座へ振り込まれる金額は約94万円です。それでも返済する元金は100万円であり、これに利息が加わります。
保証基金を利用しても、返済義務がなくなるわけではありません。返済できなくなった場合に保証基金が日本政策金融公庫へ代位弁済したときは、その後、保証基金に対する返済が必要になります。
交通遺児家庭、母子家庭または父子家庭については、保証基金へ支払う保証料が通常の3分の2に軽減されます。世帯年収200万円以内の家庭や一定の多子世帯には金利の優遇がありますが、それだけを理由に保証料が3分の2になるわけではありません。
連帯保証人を立てる場合の条件
連帯保証人を利用する場合、教育資金融資保証基金の保証料はかかりません。
連帯保証人は、進学者・在学者の4親等以内の親族で、進学者・在学者の配偶者を除く人から選びます。また、日本政策金融公庫は、申込者と別居・別生計の人を検討するよう案内しています。
申込みでは、連帯保証人になる予定の人の源泉徴収票または確定申告書の控えが必要です。審査結果によっては、保証条件の変更を求められる場合もあります。
100万円・200万円・350万円を10年間で返済する場合
次の返済額は、日本政策金融公庫の公式返済シミュレーターを使い、次の条件で試算した結果です。
金利は年4.05%
返済期間は10年間
元利均等返済
ボーナス月の増額返済なし
在学中の元金据置なし
金利や保証料の優遇なし
教育資金融資保証基金を利用
| 借入額 | 毎月の返済額 | 返済総額 | 利息総額 | 保証料 | 実際の振込額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 10,300円 | 1,215,900円 | 215,900円 | 67,467円 | 932,533円 |
| 200万円 | 20,500円 | 2,431,700円 | 431,700円 | 134,934円 | 1,865,066円 |
| 350万円 | 35,800円 | 4,255,600円 | 755,600円 | 236,134円 | 3,263,866円 |
毎月の返済額は、通常月の目安です。最終回の返済額などによって調整されるため、毎月の返済額に返済月数を掛けた金額と返済総額が完全には一致しない場合があります。
また、表の返済総額には、教育資金融資保証基金の保証料が含まれていません。保証基金を利用する場合、100万円を10年間で返済するケースでは、利息21万5,900円に加えて保証料6万7,467円が必要です。元金以外の負担は、合計28万3,367円になります。
350万円を10年と20年で返済する場合の違い
| 返済期間 | 毎月の返済額 | 返済総額 | 利息総額 | 保証料 |
|---|---|---|---|---|
| 10年 | 35,800円 | 4,255,600円 | 755,600円 | 236,134円 |
| 20年 | 21,400円 | 5,104,900円 | 1,604,900円 | 478,310円 |
返済期間を10年から20年に延ばすと、毎月の返済額は1万4,400円少なくなります。しかし、利息総額は84万9,300円増え、保証料も24万2,176円増えます。
利息と保証料を合計すると、返済期間を20年にすることで、元金以外の負担は10年返済より約109万円増える計算です。
返済期間を長くすれば家計の毎月の負担は軽くなりますが、負担そのものが減るわけではありません。毎月無理なく返済できる範囲で、できるだけ短い返済期間を選ぶことが総負担を抑えるポイントです。
在学中は元金を据え置くこともできる
国の教育ローンでは、在学期間中の元金返済を据え置き、利息だけを支払う方法も選択できます。
たとえば、100万円を10年間で返済し、そのうち最初の4年間を元金据置期間にした場合、公式シミュレーターによる返済額は次のとおりです。
| 返済期間 | 毎月の返済額 |
|---|---|
| 在学中の4年間 | 3,400円 |
| 卒業後の6年間 | 15,700円 |
この場合の返済総額は129万100円、保証料は9万4,453円です。
同じ100万円を元金据置なしで10年間返済する場合、毎月の返済額は1万300円、返済総額は121万5,900円、保証料は6万7,467円です。
元金を4年間据え置くと、在学中の返済額は月3,400円まで抑えられますが、卒業後の返済額は月1万5,700円に増えます。返済総額は7万4,200円、保証料は2万6,986円増加します。
元金据置は返済を免除する制度ではありません。据置期間中も利息を支払い、据置期間は最長20年の返済期間に含まれます。在学中の負担を卒業後へ移す仕組みだと理解して利用する必要があります。
金利だけでなく受取額と総負担を確認する
国の教育ローンを検討するときは、毎月の返済額だけを見て判断するべきではありません。
確認したいのは、次の4点です。
保証料を差し引いた後に、実際に受け取れる金額
完済までに支払う利息の総額
教育資金融資保証基金へ支払う保証料
元金据置終了後の毎月の返済額
特に、返済期間を20年にしたり、在学中の元金据置を利用したりすると、目先の返済額は下がりますが、最終的な負担は増えます。
毎月の家計だけでなく、完済までの総返済額と、保護者が何歳まで返済を続けることになるかを確認したうえで返済期間を決めることが重要です。
セクション6|国の教育ローンの審査基準と必要書類
国の教育ローンは、世帯年収や対象校などの利用条件を満たせば、必ず借りられる制度ではありません。
申込み後は、申込者の収入、勤務状況、既存の借入れ、住宅ローンや公共料金の支払状況などをもとに、返済できる見込みがあるかを総合的に審査されます。希望した融資額の全額が認められず、減額される場合もあります。
審査で確認される主な項目
日本政策金融公庫が公表している主な審査項目は、次のとおりです。
勤務または事業の状況
収入または所得の状況
現在の借入状況
住宅ローンまたは家賃の支払状況
公共料金などの支払状況
希望する融資額
資金の使い道
希望する返済期間
連帯保証人を利用する場合は、その収入や勤務状況
申込者が会社員であれば勤務先、勤続年数、収入などが確認されます。個人事業主であれば、事業内容や所得などが確認されます。
勤務年数が短いことだけを理由に利用できないわけではありません。実際に、勤続年数または営業年数が3年未満であることは、扶養する子どもが2人以内の場合に、世帯年収上限を緩和する条件の一つとされています。
一方で、収入が世帯年収上限以内であっても、希望額を継続して返済できるかどうかは別に審査されます。
年収が低ければ審査に通りやすいとは限らない
国の教育ローンには世帯年収の上限があるため、年収が高すぎると原則として利用できません。しかし、年収が低いほど審査に通りやすくなるわけではありません。
世帯年収の上限は、制度へ申し込むための条件です。実際の審査では、収入に対して毎月の返済額が大きすぎないか、現在の借入れと合わせても返済を続けられるかなどが確認されます。
年収上限を満たすことと、返済能力の審査に通ることは分けて考える必要があります。
ほかの借入れがあっても一律に落ちるわけではない
住宅ローン、自動車ローン、カードローン、教育ローンなどの借入れがあることだけを理由に、必ず審査に落ちるとは限りません。
審査では、借入件数や残高だけでなく、年間の返済額、収入に対する返済負担、これまでの支払状況などが総合的に確認されます。住宅ローンなどを返済中でも、国の教育ローンを利用できる場合があります。
ただし、既存の借入れに国の教育ローンの返済が加わるため、希望額どおりの融資を受けられない可能性はあります。申込み前に、現在の借入残高と毎月の返済額を整理しておくことが重要です。
公共料金などの支払状況も確認される
国の教育ローンでは、住宅ローンまたは家賃に加え、電気、ガス、水道、電話などの公共料金の支払状況を確認できる資料を提出します。
通常は、最近6か月分以上の預金通帳や領収書などが必要です。公共料金については、2種類以上の支払状況を確認できるように準備します。
公共料金をクレジットカードで支払っている場合は、カード利用明細書と、カード代金の引落しを確認できる預金通帳などを用意します。コンビニエンスストアなどで支払っている場合は、最近6か月分以上の領収書が必要です。
申込者名義の住宅ローンや公共料金がない場合は、携帯電話料金や生命保険料など、申込者名義で毎月継続して支払っているものを提出できる場合があります。この場合も、原則として2種類以上の確認資料を求められます。
「審査が甘い教育ローン」とは判断できない
国の教育ローンについて、「国の制度だから審査が甘い」「民間の教育ローンより通りやすい」と断定することはできません。
日本政策金融公庫は、審査項目を公表していますが、項目ごとの配点、借入残高の許容範囲、審査に通る最低年収などの具体的な基準は公表していません。
そのため、年収や借入残高だけを見て、審査に通るかどうかを事前に断定することはできません。申込み条件を満たしていても、最終的な判断は提出書類などをもとに行われます。
また、審査に通りやすくするために、借入れや支払状況を事実と異なる内容で申告してはいけません。追加書類や信用情報などによって申告内容との違いが確認される可能性があります。
申込みに共通して必要な書類
インターネットで申し込むか、郵送で申し込むかによって一部の書類は異なりますが、主に次の書類が必要です。
1.借入申込書
郵送で申し込む場合は、本人が署名・記入した借入申込書が必要です。押印欄の有無にかかわらず、押印は不要です。
インターネットから申し込む場合は、紙の借入申込書を提出する必要はありません。
2.住民票の写しまたは住民票記載事項証明書
世帯全員と続柄が記載されたものを用意します。本籍地とマイナンバーの記載がないものが必要です。
本籍地やマイナンバーが記載されている場合は、その部分を黒く塗りつぶします。
3.本人確認書類
次のいずれかを用意します。
運転免許証の両面
マイナンバーカードの表面
パスポートの顔写真ページと現住所などが記載されたページ
パスポートは、現住所の記載があるものに限られます。いずれの本人確認書類も持っていない場合は、事前に教育ローンコールセンターへ確認します。
4.収入または所得を確認できる書類
給与所得者は直近の源泉徴収票、事業所得者は直近の確定申告書の控えを用意します。
連帯保証人による保証を希望する場合は、予定している連帯保証人の源泉徴収票または確定申告書の控えも必要です。教育資金融資保証基金を利用する場合は、連帯保証人の収入証明書は必要ありません。
年収や所得は、原則として前年1年間の金額で確認されます。申込時点で前年分の源泉徴収票などが発行されていない場合は、前々年分を提出できることがあります。
5.住宅費と公共料金などの支払状況が分かる書類
住宅ローンまたは家賃と、2種類以上の公共料金について、最近6か月分以上の支払状況が分かる資料を用意します。
主な資料は、次のとおりです。
預金通帳
公共料金の領収書
支払証明書
クレジットカード利用明細書
家賃の支払状況が分かる書類
預金通帳のコピーを提出する場合は、金融機関名が分かる部分のコピーも必要です。
入学資金を申し込む場合の追加書類
入学金や入学時の授業料などを申し込む場合は、合格通知書など、合格を確認できる書類が必要です。
合格前でも国の教育ローンへ申し込めるため、申込時点で合格通知書がない場合は提出する必要がありません。ただし、融資の契約を行うまでには、原則として学校から交付された合格通知書などを提出します。
受験前や合格発表前に申し込む場合でも、志望校の募集要項など、必要な教育費を確認できる資料は準備しておきます。
在学資金を申し込む場合の追加書類
すでに学校へ在学している人の授業料などを申し込む場合は、次の書類が必要です。
学生証
在学証明書
学校案内
授業料納付通知書
教材費などの金額が分かる資料
学生証や在学証明書で在学していることを確認し、学校案内や授業料納付通知書で資金の使い道と必要額を確認します。
自宅外通学の場合の追加書類
自宅外通学または自宅外通学を予定している場合は、次のような書類が必要です。
自宅外通学先の住民票
不動産賃貸借契約書
入居予定物件の明細
学生寮の費用が分かる資料
自宅外通学を理由に世帯年収上限の緩和を受ける場合は、これらに加えて、合格通知書や学生証など、通学先となる学校への合格または在学を確認できる書類も提出します。
年収上限の緩和を受ける場合の追加書類
扶養する子どもが2人以内で、世帯年収上限の緩和を希望する場合は、該当する条件を確認できる書類が必要になることがあります。
| 緩和条件 | 主な確認書類 |
|---|---|
| 自宅外通学 | 合格通知書や学生証、住民票、賃貸借契約書など |
| 申込者または配偶者の単身赴任 | 家族の住所地と単身赴任先の住所が分かる住民票など |
| 親族の介護費用を負担 | 要介護・要支援認定通知書、介護保険証など |
| 大規模災害による被災 | り災証明書、被災証明書など |
複数の緩和条件に当てはまる場合でも、すべての条件について書類をそろえる必要はありません。いずれか一つの条件を確認できる書類を提出します。
なお、勤続年数3年未満、居住年数1年未満、海外留学資金、借入金返済負担率30%超を理由とする場合は、申込書や共通の提出書類から確認される内容もあります。実際に必要な書類は、申込方法や該当条件によって異なります。
使い道を確認できる書類も準備する
国の教育ローンは教育目的の融資であるため、希望額だけでなく、その金額が何に必要なのかを確認できる書類が求められます。
主な確認書類は次のとおりです。
学校の募集要項
入学案内
授業料納付通知書
教材費の案内
パソコンなどの見積書
不動産賃貸借契約書
入居予定物件の明細
通学定期券の金額が分かる資料
入学金、授業料、教材費など、金額の大きい主な費用については、できる限り書類をそろえます。申込時に提出していない費用について、後から追加資料を求められる場合もあります。
書類不足や希望額の根拠不足に注意する
必要書類が不足していると、審査を開始できなかったり、追加提出によって審査に時間がかかったりします。
また、融資上限が350万円または450万円であっても、必要額を確認できる書類がなければ、希望額どおりに認められるとは限りません。入学金、授業料、住居費、教材費などを項目別に整理し、それぞれの金額が分かる資料を準備することが重要です。
国の教育ローンの審査で確認されるのは、年収の高さだけではありません。現在の返済負担、これまでの支払状況、教育費の必要性を示す書類まで含めて、総合的に判断されます。
審査に通らなかった場合の選択肢
審査に通らなかった場合は、まず学校へ入学金や授業料の延納・分納が可能か確認します。あわせて、学校独自の緊急支援、自治体の教育資金融資、母子父子寡婦福祉資金などを利用できないか調べます。
JASSOの入学時特別増額貸与奨学金を申し込んでいる場合は、国の教育ローンを利用できなかったことを示す通知文が必要になることがあります。
ただし、入学時特別増額貸与奨学金は、入学前に受け取れる制度ではありません。第一種奨学金または第二種奨学金に上乗せして進学後に貸与されるため、入学金の納付期限に間に合わない場合は、学校の延納・分納制度なども同時に確認する必要があります。
セクション7|JASSO奨学金・民間教育ローンとの違い
教育費を借りる方法には、日本政策金融公庫の国の教育ローン、JASSOの貸与型奨学金、銀行などの民間教育ローンがあります。
いずれも返済が必要ですが、借りる人、資金を受け取れる時期、返済を始める時期、金利の決まり方が異なります。金利だけで選ぶのではなく、いつまでに資金が必要なのか、保護者と学生のどちらが返済するのかを決めてから比較することが重要です。
国の教育ローン・JASSO奨学金・民間教育ローンの比較
| 比較項目 | 国の教育ローン | JASSOの貸与型奨学金 | 民間教育ローン |
|---|---|---|---|
| 借りる人 | 原則として保護者 | 学生本人 | 主に保護者。商品によっては学生本人も可能 |
| 返済する人 | 原則として保護者 | 学生本人 | 契約者 |
| 受取時期 | 入学前でも可能 | 原則として進学後 | 入学前に利用できる商品が多い |
| 受取方法 | 原則として一括 | 原則として毎月 | 一括、分割、学校への直接振込みなど商品による |
| 金利 | 固定金利 | 第一種は無利子、第二種は有利子 | 固定金利または変動金利 |
| 在学中の利息 | 元金据置中も利息を支払う | 第二種も在学中は無利子 | 商品による |
| 返済開始 | 原則として借入日の翌月または翌々月 | 原則として貸与終了後 | 借入後または卒業後など商品による |
| 主な審査・選考 | 世帯年収、申込者の収入、勤務、借入・支払状況など | 学力基準、家計基準など | 収入、勤務、借入・信用状況など |
| 世帯年収の上限 | あり | あり | 商品による |
| 保証 | 保証基金または連帯保証人 | 機関保証または人的保証 | 保証会社など商品による |
| JASSOとの併用 | 可能 | 国の教育ローンと併用可能 | 商品による |
国の教育ローンとJASSO奨学金の違い
国の教育ローンとJASSOの貸与型奨学金で最も大きく異なるのは、誰が借りて、いつ資金を受け取るかです。
国の教育ローンは、原則として保護者が借りて返済します。受験前や合格発表前でも申し込むことができ、融資が決定して必要な手続きが終われば、入学前に資金を受け取れます。
一方、JASSOの貸与型奨学金は、学生本人が借り、原則として卒業後に本人が返還します。高校在学中に予約採用の候補者となっていても、入学前に奨学金が振り込まれるわけではありません。進学後に必要な手続きを行い、その後、原則として毎月振り込まれます。
そのため、入学金や前期授業料など、合格後すぐに必要となるまとまった費用には国の教育ローンが対応しやすく、進学後に継続して必要となる学費や生活費にはJASSO奨学金が対応しやすいという違いがあります。
JASSO第一種奨学金を利用できるなら優先度が高い
JASSOの第一種奨学金は、利息が付かない貸与型奨学金です。借りた元金は返還する必要がありますが、原則として利息はかかりません。
国の教育ローンは、2026年7月1日時点で年4.05%の固定金利です。教育資金融資保証基金を利用する場合は、さらに保証料もかかります。
したがって、同じ金額を借りられるのであれば、返済総額は無利子の第一種奨学金のほうが少なくなります。第一種奨学金を利用できる場合は、原則として国の教育ローンより先に検討する価値があります。
ただし、第一種奨学金には学力基準と家計基準があります。また、資金を受け取れるのは進学後であるため、入学前に納付する費用には間に合わない可能性があります。
JASSO第二種奨学金と国の教育ローンの金利の違い
JASSOの第二種奨学金は、有利子の貸与型奨学金です。ただし、在学中は利息がかかりません。
第二種奨学金では、「利率固定方式」と「利率見直し方式」のいずれかを選びます。
利率固定方式は、貸与終了時に決まった利率が返還完了まで続きます。利率見直し方式は、貸与終了時に決まった利率を、おおむね5年ごとに見直します。
基本月額部分の利率は年3.0%が上限です。ただし、実際の利率は申込時や貸与開始時ではなく、貸与終了月に決まります。そのため、入学時点では卒業後に適用される利率を確定できません。
国の教育ローンは、借入時の金利が完済まで変わらないため、返済総額を見通しやすい点が利点です。一方、2026年7月1日時点の年4.05%は、JASSO第二種奨学金の基本月額に適用される利率上限の年3.0%を上回っています。
利息の負担だけを考えると、第二種奨学金を利用できる場合は、国の教育ローンより先に検討する余地があります。ただし、入学前に資金を受け取れないことや、学生本人に返還義務が生じることも含めて判断する必要があります。
入学前のまとまった費用には国の教育ローンが使いやすい
国の教育ローンは、次のような入学前の費用を準備したい場合に利用しやすい制度です。
合格後すぐに納付する入学金
入学前に納付する前期授業料
受験料
受験時の交通費・宿泊費
自宅外通学のための敷金や家賃
入学前に購入するパソコンや教材
JASSOの入学時特別増額貸与奨学金も、入学前に振り込まれる制度ではありません。入学した月の奨学金に一時金として上乗せされるため、入学金の納付期限には間に合わない可能性があります。
国の教育ローンは、奨学金の振込みが始まるまでの資金不足を補う方法として活かせます。
在学中の毎月の不足にはJASSO奨学金が使いやすい
JASSOの貸与型奨学金は、原則として毎月振り込まれます。そのため、授業料だけでなく、毎月の家賃、通学費、教材費、生活費などが継続的に不足する場合に利用しやすい制度です。
国の教育ローンは、原則として今後1年間に必要となる費用を一括で借ります。まとまった支払いには対応しやすい一方、毎月の生活費に少しずつ使う場合は、借りた資金を家庭で管理する必要があります。
在学期間中に毎月一定額が不足する場合は、JASSO奨学金の月額で補えるかを先に確認し、それでも不足する場合に国の教育ローンを検討するのがよいでしょう。
民間教育ローンとは金利と利用条件を比較する
民間教育ローンは、銀行、信用金庫、労働金庫、農協などが扱っています。国の教育ローンと同様に、保護者が借りる商品が中心で、入学前の費用に利用できるものもあります。
ただし、金利や利用条件は金融機関や商品によって大きく異なります。
固定金利か変動金利か
保証料が金利に含まれているか
事務手数料が必要か
住宅ローンなどの利用者向け優遇があるか
在学中に元金を据え置けるか
学校へ直接振り込まれるか
繰上返済に手数料がかかるか
最低年収や勤続年数の条件があるか
民間教育ローンの表示金利が国の教育ローンより低くても、保証料や事務手数料を含めると、実際の負担が逆転する可能性があります。
また、変動金利の商品は、借入時の金利が低くても、返済期間中に金利が上がる可能性があります。国の教育ローンは固定金利のため、借入後に市場金利が上昇しても適用金利は変わりません。
比較するときは、表示金利だけでなく、借入額、返済期間、保証料、事務手数料を含めた総返済額を確認する必要があります。
国の教育ローンとJASSO奨学金は併用できる
国の教育ローンとJASSOの奨学金は併用できます。
たとえば、入学前に必要な入学金や前期授業料を国の教育ローンで準備し、進学後に必要となる毎月の学費や生活費をJASSO奨学金で補う方法があります。
ただし、併用すると、保護者と学生の両方に返済義務が生じる可能性があります。
国の教育ローンは原則として保護者が返済し、JASSO奨学金は学生本人が卒業後に返還します。契約者が分かれていても、家庭全体で見れば二つの返済を抱えることになります。
利用額を決めるときは、保護者の住宅ローンや老後資金だけでなく、学生が卒業後にJASSO奨学金を毎月いくら返還することになるかも確認する必要があります。
教育費を借りるときの優先順位
教育費が不足する場合は、原則として次の順序で検討します。
1.授業料減免や返済不要の給付型奨学金
2.JASSO第一種などの無利子の貸与型奨学金
3.JASSO第二種などの有利子の貸与型奨学金
4.国の教育ローン
5.民間教育ローン
ただし、入学金の納付期限までに奨学金が振り込まれない場合は、金利の低い順だけでは決められません。学校の延納・分納制度を確認し、それでも入学前の資金が不足する場合は、国の教育ローンと民間教育ローンを比較します。
国の教育ローンは、すべての教育費を賄うために上限まで借りる制度ではありません。奨学金では間に合わない費用や、奨学金だけでは不足する金額を補うために利用するのが基本です。
セクション8|国の教育ローンのメリット・デメリット
国の教育ローンには、入学前にまとまった資金を準備できるという大きなメリットがあります。一方、現在は金利が年4.05%まで上がっており、保証料や長期間の利息を含めると、返済負担は小さくありません。
「国の制度だから安心」「民間より条件がよい」と一律に判断せず、自分の家庭にとってメリットがデメリットを上回るかを確認する必要があります。
国の教育ローンのメリット
1.受験前・合格発表前でも申し込める
国の教育ローンは、志望校が決まった段階で、受験前や合格発表前でも申し込めます。
大学や専門学校では、合格発表から入学金の納付期限までの期間が短いことがあります。JASSOの奨学金は原則として進学後に振り込まれるため、入学前の支払いには間に合わない可能性があります。
国の教育ローンは、入学金や前期授業料などを納付期限までに準備する手段として活かせます。
ただし、合格前に申し込んだ場合でも、融資の契約までには合格通知書などの提出が必要です。また、申込みが集中する時期には通常より時間がかかるため、必要時期の2~3か月前の申込みが推奨されています。
2.学費以外の幅広い教育費に利用できる
国の教育ローンは、入学金や授業料だけでなく、次のような費用にも利用できます。
受験料
受験時の交通費・宿泊費
滑り止めとして受験した学校の入学金
アパートなどの敷金・家賃
教科書代・教材費
通学費・定期券代
塾・予備校代
パソコン購入費
修学旅行費
学生本人の国民年金保険料
進学時には、学校へ納付する費用以外にもまとまった支出が発生します。これらを含めて申し込める点は、国の教育ローンのメリットです。
3.対象となる学校の範囲が広い
大学や専門学校だけでなく、高校、高等専門学校、短期大学、大学院、予備校、一定の各種学校なども対象になります。
修業年限3か月以上などの条件を満たせば、外国の高校、大学、大学院、短期大学、語学学校などの費用にも利用できます。
JASSOの国内向け奨学金を利用できない学校や教育施設でも、国の教育ローンの対象になる可能性があります。
4.JASSOなどの奨学金と併用できる
国の教育ローンは、JASSOの給付型・貸与型奨学金と併用できます。
たとえば、入学前に必要な入学金を国の教育ローンで準備し、進学後の授業料や生活費をJASSO奨学金で補うことができます。給付型奨学金や授業料減免だけでは足りない金額を、国の教育ローンで補うことも可能です。
奨学金だけでは教育費が足りない家庭にとっては、進学を断念せずに不足額を補える点がメリットになります。
5.固定金利で返済計画を立てやすい
国の教育ローンは、融資を受けた時点の金利が完済まで変わらない固定金利です。
借入後に市場金利が上昇しても、適用金利は上がりません。借入時点で毎月の返済額と総返済額を確認できるため、変動金利の教育ローンより返済計画を立てやすいという利点があります。
ただし、借入後に市場金利が下がっても、自動的に適用金利が下がるわけではありません。
6.在学中は元金を据え置くことができる
在学期間中は、元金の返済を据え置き、利息だけを支払う方法を選べます。
子どもの在学中は授業料や生活費の負担が続くため、元金据置によって毎月の返済額を抑えられることには意味があります。
ただし、利息の支払いは続きます。据置期間は最長20年の返済期間に含まれ、卒業後の毎月の返済額や総返済額も増えるため、返済免除と混同しないように注意が必要です。
7.繰上返済の手数料がかからない
返済期間中に家計に余裕ができた場合は、一部または全額を繰上返済できます。
繰上返済そのものに手数料はかかりません。予定より早く元金を返済すれば、その後に支払う利息を減らせます。
ただし、日本政策金融公庫へ送金する際の振込手数料は、利用者が負担します。
国の教育ローンのデメリット
1.返済不要の支援ではない
「国の教育ローン」という名称から、公的な給付金や奨学金に近い制度を想像する人もいますが、実際には返済が必要な借入れです。
借りた元金だけでなく、利息も支払います。教育資金融資保証基金を利用する場合は、保証料も必要です。
給付型奨学金、授業料減免、無利子の貸与型奨学金を利用できる可能性があるなら、先にそれらを確認する必要があります。
2.現在は必ずしも低金利とはいえない
2026年7月1日時点の金利は年4.05%です。
JASSO第一種奨学金は無利子であり、第二種奨学金も基本月額部分の利率は年3.0%が上限です。民間教育ローンについても、取引条件やキャンペーンなどによって国の教育ローンより低い金利が適用される場合があります。
国の制度だから民間教育ローンより必ず低金利になるわけではありません。保証料や手数料を含めて比較する必要があります。
3.保証基金を利用すると保証料が差し引かれる
連帯保証人を立てず、教育資金融資保証基金を利用する場合は、融資額や返済期間に応じた保証料がかかります。
保証料は融資金から一括して差し引かれるため、融資決定額と実際に口座へ振り込まれる金額は異なります。
年4.05%、返済期間10年、優遇なしで350万円を借りる場合、公式シミュレーターによる保証料は23万6,134円です。実際の振込額は326万3,866円となるため、350万円全額を学校への支払いなどに使えるわけではありません。
必要額と同額だけを申し込むと、保証料を差し引かれた後に資金が不足する可能性があります。
4.在学中から返済が始まる
国の教育ローンは、原則として借入日の翌月または翌々月から返済が始まります。
JASSO奨学金のように、卒業後まで返済開始を待つ制度ではありません。元金据置を利用した場合でも、在学中から利息を支払います。
子どもの授業料や生活費を負担しながら、同時に教育ローンを返済することになるため、在学中の家計に余裕があるかを確認する必要があります。
5.返済期間を長くすると総負担が大きくなる
返済期間は20年以内で設定できます。返済期間を長くすれば、毎月の返済額を減らせますが、利息と保証料の総額は増えます。
年4.05%で350万円を借りる場合、10年返済では毎月約3万5,800円、返済総額は約425万6,000円です。20年返済では毎月約2万1,400円まで下がりますが、返済総額は約510万5,000円まで増えます。
保証料を含めると、20年返済の元金以外の負担は10年返済より約109万円多くなります。
毎月の負担だけを見て返済期間を長くすると、結果として大きな利息を支払うことになります。
6.保護者の住宅ローンや老後資金と返済時期が重なる
国の教育ローンは、原則として保護者が契約して返済します。
子どもの大学進学時に保護者が40代後半や50代で、20年返済を選ぶと、定年後まで返済が続く可能性があります。住宅ローン、下の子の教育費、老後資金の準備と重なることもあります。
融資を受けられるかどうかだけでなく、何歳まで返済が続くのかを確認することが重要です。
7.世帯年収が高いと利用できない
国の教育ローンには、扶養する子どもの人数に応じた世帯年収の上限があります。
教育費の負担が大きくても、世帯年収が上限を超えている場合は、原則として利用できません。子どもが1人または2人の場合は一定の条件により上限が緩和されますが、すべての家庭が対象になるわけではありません。
世帯年収が上限を超える家庭は、民間教育ローン、学校の分納制度、奨学金など、別の方法を検討する必要があります。
8.申込みと審査に時間がかかる
通常は、申込み完了から審査結果が出るまでに10日前後、さらに融資金が口座へ振り込まれるまでに10日前後かかります。
書類が不足している場合や、追加確認が必要な場合は、さらに時間がかかります。特に10月から3月までの入学シーズンは申込みが集中するため、通常より長くかかる可能性があります。
入学金の納付期限直前に申し込んでも、間に合わないことがあります。志望校と必要額が決まった段階で早めに準備する必要があります。
9.今後1年間より先の費用はまとめて借りられない
国の教育ローンの対象になるのは、今後1年間に必要となる教育費です。
大学4年間分の授業料を一度に借りることはできません。2年目以降も資金が必要な場合は、借入残高が限度額以内に収まる範囲で、改めて申し込み、審査を受けます。
追加融資を予定していても、将来の審査に必ず通る保証はありません。卒業までの教育費を国の教育ローンだけに頼る計画には注意が必要です。
メリットが大きいのは入学前の資金が不足する場合
国の教育ローンのメリットが特に大きいのは、奨学金の振込みが始まる前に、入学金や前期授業料などのまとまった費用を準備する必要がある場合です。
一方、入学前の費用を自己資金で準備でき、進学後の毎月の費用だけが不足する場合は、JASSO奨学金のほうが適している可能性があります。
国の教育ローンは、教育費全体を無条件に賄う制度ではありません。入学前に必要な金額、奨学金で補える金額、保護者が無理なく返済できる金額を分けて考えることが重要です。
セクション9|国の教育ローンが向いている人・向いていない人
国の教育ローンの利用条件を満たしていることと、実際に利用したほうがよいことは別です。
世帯年収の条件を満たし、審査に通る可能性があっても、給付型奨学金や無利子の貸与型奨学金を利用できるなら、国の教育ローンを優先する必要はありません。
一方、奨学金の振込みが始まる前に入学金を準備できない場合や、奨学金だけでは進学費用が不足する場合には、有力な選択肢になります。
国の教育ローンが向いている人
1.入学前にまとまった資金が必要な人
合格後すぐに入学金や前期授業料を支払う必要があり、家庭の預貯金だけでは納付期限に間に合わない人に向いています。
JASSOの奨学金は、高校在学中に予約採用の候補者になっていても、入学前には振り込まれません。入学金や前期授業料を準備する手段として、国の教育ローンを活かせます。
ただし、学校が入学金や授業料の延納・分納に対応している場合もあります。借りる前に、進学先の支払制度を確認することが大切です。
2.給付型・貸与型奨学金だけでは教育費が足りない人
給付型奨学金や授業料減免を利用できても、すべての教育費を賄えるとは限りません。
特に自宅外通学では、学校へ支払う費用に加えて、敷金、家賃、通学費、教材費、パソコン購入費なども必要です。奨学金と自己資金を差し引いても不足する金額が明確になっている人は、国の教育ローンを検討できます。
上限額を基準に借りるのではなく、奨学金などで賄えない不足額だけを借りることが前提です。
3.学生本人ではなく保護者が返済する方針の家庭
国の教育ローンは、原則として保護者が借りて返済します。
学生本人に奨学金の返還負担を負わせず、保護者が教育費を負担する方針の家庭に向いています。
ただし、保護者が借りても、家族全体の負担が消えるわけではありません。住宅ローン、下の子の教育費、老後資金などと両立できる返済額に抑える必要があります。
4.固定金利で返済額を確定させたい人
国の教育ローンは、借入時の金利が完済まで変わらない固定金利です。
変動金利の民間教育ローンでは、返済期間中に金利が上昇し、毎月の返済額や総返済額が増える可能性があります。将来の金利上昇を避け、借入時点で返済計画を確定させたい人には、固定金利がメリットになります。
一方、借入後に市場金利が下がっても適用金利は下がりません。申込時には、固定金利の民間教育ローンとも比較する必要があります。
5.受験費用や自宅外通学の費用もまとめて準備したい人
国の教育ローンは、入学金や授業料だけでなく、受験料、受験時の交通費・宿泊費、アパートの敷金・家賃、教材費、パソコン購入費などにも利用できます。
学校へ支払う費用以外にも、進学前後の支出が重なる人に向いています。
自宅外通学に必要な資金については、通常の350万円ではなく、子ども1人につき上限450万円が適用されます。ただし、実際の必要額と返済能力を超えて借りるべきではありません。
6.JASSO奨学金の初回振込みまでの不足を補いたい人
年間の教育費は奨学金で賄えるものの、初回振込み前の支払いだけが不足する場合にも向いています。
国の教育ローンで入学前の費用を準備し、進学後の継続的な費用はJASSO奨学金で補う方法です。
この場合も、国の教育ローンとJASSO奨学金の両方を上限まで利用するのではなく、それぞれの資金を何に使うかを決めておく必要があります。
7.毎月の返済額と総返済額を確認して返せる人
国の教育ローンは、借入れ後の翌月または翌々月から返済が始まります。
住宅ローンや家賃、生活費を支払った後でも毎月返済でき、教育資金融資保証基金の保証料を含めた総負担も受け入れられる家庭に向いています。
「審査に通る金額」ではなく、「家計を崩さずに返せる金額」を基準に判断することが重要です。
国の教育ローンが向いていない人
1.給付型奨学金や授業料減免をまだ調べていない人
国の教育ローンを検討する前に、返済不要の給付型奨学金や授業料減免を確認する必要があります。
給付型支援を利用できる可能性があるのに、有利子の教育ローンを先に借りると、本来は負担しなくてよかった利息や保証料を支払うことになります。
国の教育ローンは、給付型支援を確認した後の選択肢です。
2.JASSO第一種などの無利子奨学金で不足を補える人
JASSO第一種奨学金などの無利子制度を利用でき、それだけで必要な教育費を賄える人は、国の教育ローンを優先する必要性が低いといえます。
国の教育ローンには利息が付き、保証基金を利用する場合は保証料もかかります。資金を受け取る時期に問題がなければ、無利子の制度を先に検討したほうが返済総額を抑えられます。
ただし、無利子奨学金の振込みが入学金の納付期限に間に合わない場合は、入学前の不足額に限って国の教育ローンを利用する余地があります。
3.入学前の費用は準備でき、在学中の生活費だけが不足する人
入学金や前期授業料を自己資金で支払える一方、進学後の家賃や生活費が毎月不足する人には、JASSO奨学金のほうが管理しやすい可能性があります。
国の教育ローンは、今後1年間に必要な費用を原則として一括で借ります。継続的な不足を補うためにまとまった金額を借りると、必要以上に使ってしまうおそれもあります。
毎月の不足額が明確な場合は、月額で受け取る貸与型奨学金を先に検討します。
4.すでに住宅ローンやほかの借入れの負担が大きい人
住宅ローン、自動車ローン、カードローンなどの返済で家計に余裕がない場合は、国の教育ローンを追加すると返済が難しくなる可能性があります。
既存の借入れがあっても一律に利用できないわけではありませんが、教育ローンの返済は原則として借入後すぐに始まります。
毎月返済できるかだけでなく、病気、休職、収入減少などが発生しても返済を続けられるかを考える必要があります。
5.毎月の家計がすでに赤字になっている人
現在の収入だけでは毎月の生活費を賄えず、預貯金や新たな借入れで補っている家庭には慎重な判断が必要です。
国の教育ローンは、一時的な教育費不足を補う制度です。毎月の家計赤字そのものを解決する制度ではありません。
教育ローンの返済が加わることで赤字がさらに拡大する場合は、借入れより先に、授業料の延納・分納、給付型支援、福祉資金などを確認します。
6.必要額を計算せず上限まで借りようとしている人
融資限度額は、原則として350万円、一定の場合は450万円ですが、上限まで借りる必要はありません。
年4.05%で350万円を10年間借りると、返済総額は約425万6,000円です。保証基金を利用する場合は、これとは別に約23万6,000円の保証料もかかります。
「借りられるだけ借りる」という考え方では、将来の返済負担が大きくなります。教育費の不足額を計算できていない人は、借入額を決める前に資金計画を作る必要があります。
7.保護者の定年後まで返済が続く人
返済期間は20年以内で設定できますが、長くするほど利息と保証料の負担が増えます。
保護者が50歳で20年返済を選ぶと、計画上は70歳まで返済が続きます。実際には定年後に収入が減ったり、医療費や介護費が増えたりする可能性があります。
定年前の完済が難しい場合は、借入額の削減や、学生本人が返還する奨学金との分担も含めて検討する必要があります。
8.在学期間全体の費用を一度に借りたい人
国の教育ローンの対象になるのは、今後1年間に必要となる費用です。大学4年間分などをまとめて借りることはできません。
2年目以降も追加融資を申し込めますが、その都度審査があり、希望額を必ず借りられるわけではありません。
卒業までの費用を一度の借入れで確保したい人には、制度の仕組みが合いません。
国の教育ローンが向いているか確認するチェックリスト
次の項目に多く当てはまる場合は、国の教育ローンを検討する余地があります。
入学前にまとまった支払いがある
奨学金の初回振込みでは納付期限に間に合わない
給付型支援を差し引いても教育費が不足する
不足する金額を具体的に計算できている
保護者が返済する方針が決まっている
保証料を差し引いた実際の受取額を確認している
毎月の返済額だけでなく総返済額も確認している
住宅ローンや老後資金と両立できる
民間教育ローンとも比較している
学校の延納・分納制度も確認している
反対に、給付型支援をまだ調べていない、返済可能額が分からない、上限まで借りることを前提にしている場合は、すぐに申し込まず資金計画を見直したほうがよいでしょう。
国の教育ローンが向いているのは、奨学金では間に合わない入学前資金や、奨学金だけでは足りない金額を、保護者が無理なく返済できる範囲で補いたい家庭です。
セクション10|国の教育ローンの申し込み方法と利用前の最終確認
国の教育ローンは、インターネットまたは郵送で申し込めます。インターネット申し込みは24時間365日受け付けており、原則として窓口へ行く必要はありません。ただし、審査や契約の際に、申込者本人の来店を求められる場合があります。
受験前や合格発表前でも申し込めるため、入学金の納付期限が短い学校を受験する場合は、合格してから手続きを始める必要はありません。日本政策金融公庫は、資金が必要になる2~3か月前の申し込みを目安としています。
特に10月から3月までの入学シーズンは申し込みが集中します。通常でも、申し込み完了から審査結果の連絡まで10日前後、契約後に融資金が振り込まれるまでさらに10日前後かかるため、納付期限から逆算して早めに準備しましょう。
申し込みから入金までの流れ
1.借入額と返済計画を決める
まず、入学金や授業料などの必要額から、給付型奨学金、貸与型奨学金、預貯金などで用意できる金額を差し引き、実際の不足額を確認します。
利用限度額まで借りられる場合でも、必要以上に借りると利息と毎月の返済負担が増えます。日本政策金融公庫の返済シミュレーションを使い、毎月の返済額と総返済額を確認してから借入額を決めましょう。
2.必要書類を準備する
主な必要書類は、次のとおりです。
- 世帯全員と続柄が記載された住民票の写し、または住民票記載事項証明書
- 運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類
- 直近の源泉徴収票または確定申告書の控え
- 住宅ローンまたは家賃、公共料金の支払い状況が分かる最近6か月分以上の通帳や領収書
- 合格通知書、学生証、在学証明書など、合格または在学を確認できる書類
- 授業料納付通知書や学校案内など、資金の使い道を確認できる書類
必要書類は、入学資金か在学資金か、自宅外通学か、保証基金と連帯保証人のどちらを利用するかなどによって異なります。申し込み前に、日本政策金融公庫の必要書類確認ページで確認してください。
3.インターネットまたは郵送で申し込む
インターネット申し込みでは、申込フォームへ必要事項を入力し、必要書類をアップロードまたは郵送します。
郵送で申し込む場合は、借入申込書を取り寄せ、必要事項を記入したうえで必要書類と一緒に送付します。合格前に申し込む場合、合格通知書は申し込み時点では必要ありませんが、契約手続きまでに提出する必要があります。
4.審査結果を確認する
必要書類がそろうと審査が始まり、通常は申し込み完了から10日前後で結果が通知されます。ただし、審査状況や申し込みが集中する時期によっては、さらに時間がかかる場合があります。
また、申し込めば必ず借りられるわけではありません。希望額どおりの融資を受けられない可能性も考え、学校独自の分納・延納制度や自治体の教育資金融資なども確認しておくと安心です。
5.契約手続きを行い、融資金を受け取る
融資が決定したら、案内に従って契約手続きを行います。融資金は学校へ直接支払われるのではなく、申込者名義の金融機関口座へ振り込まれます。振り込みの際には送金手数料がかかります。
入金後は、授業料や入学金などの納付期限に間に合うよう、自分で学校への支払いを行います。
申し込む前に確認しておきたいこと
申し込み前には、少なくとも次の点を確認しておきましょう。
- 給付型奨学金や授業料減免を利用しても不足する金額はいくらか
- JASSOの貸与型奨学金が振り込まれるまでの資金として必要なのか
- 毎月の返済額を家計から無理なく支払えるか
- 元金据置期間を設けた場合、据置終了後の返済額はいくらになるか
- 保証基金を利用する場合の保証料を含めた負担はいくらか
- 学校の入学金や授業料の納付期限に間に合うか
国の教育ローンは、給付型奨学金や貸与型奨学金だけでは教育費を用意できない家庭にとって、有力な選択肢です。一方で、給付金ではなく返済が必要な融資であり、審査もあります。
まず返済不要の支援制度を確認し、それでも不足する金額を明確にしたうえで、必要な範囲に絞って利用することが大切です。
ご利用を決める前に、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
参考ページ
参考ページ
・教育一般貸付(国の教育ローン)|日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/ippan.html
・ご利用条件や金利・ご返済方法|日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/finance/ippan/sim.html
・必要書類とお手続きの流れ|日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/finance/ippan/shorui.html
・よくあるご質問―国の教育ローンのご利用をお考えの方|日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/faq/kyoqa_m.html
・国の教育ローンと奨学金との違い/利用者様の声|日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/finance/ippan/kyoikuhi/voice.html
・公益財団法人 教育資金融資保証基金
https://kyouiku-kikin.or.jp/
・給付奨学金(返済不要)|日本学生支援機構
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/kyufu/index.html
・貸与奨学金(返済必要)|日本学生支援機構
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/index.html
・第一種奨学金(無利子で借りる)|日本学生支援機構
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_1shu/index.html
・第二種奨学金(有利子で借りる)|日本学生支援機構
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_2shu/index.html
・第二種奨学金の利子と利率の算定方法|日本学生支援機構
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_2shu/riritsu_santei.html
・入学時特別増額貸与奨学金|日本学生支援機構
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/nyuzo/index.html
・卒業後の返還|日本学生支援機構
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan/index.html
