家賃や引っ越し費用の負担に悩む、シングルマザーなどのひとり親家庭の方へ。このページでは、住宅手当・家賃補助をはじめとする住まいの支援を一覧で紹介します。各制度の金額・対象条件・申請方法を整理し、自分の状況に合う支援を探せるよう解説します。
制度ごとの説明では、対象となる費用や支援期間、給付・助成・貸付の違いに注目します。住居確保給付金やひとり親家庭住宅支援資金貸付などを取り上げ、金額だけでは分からない利用条件を確認し、返済免除のある貸付では、免除までに必要な手続きも説明します。
また、今の家に住み続けたい方と、住み替えを考えている方では、確認したい支援も異なります。公営住宅や母子生活支援施設も含め、各制度が向いている人を整理します。家賃だけでなく、通勤・通学や子育て、転居後の生活まで考えて選ぶための視点を紹介します。
一方で、ほかの支援との併用や、申請・契約の順番、貸付の返済条件など、利用前に確かめたい点もあります。相談時に整理しておきたい家族・収入・住まいの情報とあわせて、申請を進める際の注意点を紹介します。その他の点も含めて、分かりやすく解説していきます。
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セクション1|ひとり親が利用できる住宅手当・家賃補助・住宅支援の一覧
ひとり親家庭の住まいを支える制度には、毎月の家賃を補助するもの、転居費用を支援するもの、家賃を抑えた住宅や生活支援のある施設を利用するものがあります。
今の家に住み続けたいのか、住み替えを考えているのかによって、確認したい制度は変わります。まずは、主な支援の内容を見てみましょう。
住宅に関する主な支援制度
| 制度・支援 | 主な支援内容 | 給付・貸付などの違い |
|---|---|---|
| 自治体独自の住宅手当・家賃補助 | 毎月の家賃や転居時の費用などを補助。実施の有無・金額・条件は自治体によって異なる | 給付・助成 |
| ひとり親家庭住宅支援資金貸付 | 就職や収入増に向けた支援を受けながら、家賃相当額を月額最大7万円、原則12か月借りられる | 無利子の貸付。就労などの条件を満たすと返済免除 |
| 住居確保給付金 | 離職や収入減少などで住まいの維持が難しい場合に、家賃や、家計改善のための転居費用を補助 | 給付 |
| 公営住宅 | 所得や住宅の条件などに応じた家賃で、公営の賃貸住宅に住める | 住宅の提供 |
| 母子生活支援施設 | 母親と子どもが一緒に入所し、住まいと生活・子育てなどの支援を受けられる | 入所による支援 |
| 母子父子寡婦福祉資金貸付 | 住宅の補修などに使える「住宅資金」や、転居に必要な費用に使える「転宅資金」を借りられる | 貸付。原則として返済が必要 |
住宅支援資金貸付の返済免除には、就職・転職後の就労継続などの条件があります。また、住居確保給付金の家賃補助と転居費用補助では、対象となる費用や利用条件が異なります。
ひとり親向けの制度と、ひとり親も利用できる制度がある
住宅支援資金貸付などは、ひとり親家庭を対象とした制度です。一方、住居確保給付金や公営住宅は、ひとり親家庭以外も対象に含む支援です。自治体のホームページでは、ひとり親支援のページに加え、生活相談や住宅のページも確認すると、利用できる制度を探しやすくなります。
公営住宅では、住宅に困っているひとり親家庭への優先的な取り扱いを設けている場合もあります。母子生活支援施設は母親と子どもを対象とするため、父子家庭の場合は、自治体の相談窓口で状況に合う住まいや生活支援を確認しましょう。
また、自治体独自の家賃補助には、現在の賃貸住宅で申請できるものと、指定された住宅への転居が必要なものがあります。「家賃補助」という名称だけで判断せず、対象となる住宅や申請の時期まで確認することが大切です。
セクション2|ひとり親家庭住宅支援資金貸付|家賃を借りられ、条件を満たすと返済免除
ひとり親家庭住宅支援資金貸付は、就職や収入の増加に向けて取り組むひとり親に、家賃を無利子で貸し付ける制度です。就職・転職や就労継続などの条件を満たすと、借りたお金の返済が免除されます。
仕事が決まるまでの住居費を確保したい方や、より収入の高い仕事への転職を目指す方が検討できる支援です。
対象者|所得などの条件に加え、自立支援プログラムの策定が必要
主な対象は、次の条件を満たすひとり親家庭の母親・父親です。
- 児童扶養手当を受給している、または同等の所得水準にある
- 「母子・父子自立支援プログラム」の策定を受け、自立に向けて取り組んでいる
- 賃貸住宅に住み、家賃を負担している
児童扶養手当を受給していなくても、所得などの条件が合えば対象になります。また、児童扶養手当と同等の所得水準を超えてから、1年以内の方も対象に含まれます。
自立支援プログラムとは、相談員と面談し、生活や子育て、現在の仕事の状況を整理したうえで、就職などの目標と必要な支援をまとめる計画です。仕事探しや資格取得など、本人の状況に応じた支援を組み合わせ、目標に向けて取り組みます。
貸付額・期間|月額上限7万円、原則12か月
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 貸付額 | 入居している住宅の家賃の実費。月額上限7万円 |
| 貸付期間 | 原則12か月以内 |
| 利子 | 無利子 |
| 返済免除 | 就職・転職や就労継続などの条件を満たし、申請・審査を経て決定 |
例えば、対象となる家賃が月額5万円なら、貸付額は月額5万円が基本です。上限の7万円を一律に借りられる仕組みではありません。
また、住居確保給付金などで家賃の支援を受けている場合は、その金額を差し引いて貸付額が調整されることがあります。家賃のほかに管理費・共益費なども対象になるか、申請先で確認しましょう。
返済免除の条件|就職・転職後に1年間働き続けることが基本
国の制度概要では、1年以内に就職し、就労を1年間継続した場合に返済を免除するとされています。すでに働いている方についても、プログラム策定時より高い所得が見込まれる転職などをし、1年間就業を続けることで、免除の対象になる場合があります。
借りる前に、相談員と「いつまでに、どのような仕事に就くことが条件になるか」を共有しておきましょう。
返済免除には申請と審査が必要です。就職した後も、就労状況の報告や証明書類の提出を続け、免除の決定まで手続きを進めます。免除条件を満たさない場合は返済が必要になりますが、災害や病気など、やむを得ない事情がある場合には返済猶予の制度もあります。
この制度が向いている人
制度の目的を踏まえると、次のような方が検討しやすい支援です。
- 仕事を探す間の家賃を確保したい人
- 収入が増える見込みの仕事への転職を目指している人
- 就職先や働き方について、相談員の支援を受けながら生活を立て直したい人
利用を考えるときは、貸付期間中の家賃だけでなく、就職後の収入と住居費の見通しも整理するとよいでしょう。例えば、希望する勤務時間で得られる収入や、保育・通勤にかかる費用まで考えると、目指す仕事の条件を具体的にできます。
申請方法|まずは自治体のひとり親相談窓口へ
まずは、お住まいの市区町村のひとり親相談窓口や、母子家庭等就業・自立支援センターなどで、住宅支援資金貸付を利用したいと相談します。
一般的には、次のような流れで進みます。
- 相談員との面談で、生活・就労の状況を整理する
- 母子・父子自立支援プログラムを策定する
- 貸付の条件を確認し、必要書類をそろえる
- 自治体や社会福祉協議会などの実施団体へ申請する
申請期限や必要書類、保証人の条件などは地域によって異なります。相談時には、家賃と収入が分かる資料を用意すると、利用条件や必要な手続きを確認しやすくなります。
セクション3|住居確保給付金|離職・収入減少で家賃の支払いが難しいときの支援
住居確保給付金は、離職や収入の減少などによって、住まいを失った方や失うおそれのある方に、住宅費を支給する制度です。返済不要の給付金で、ひとり親家庭も条件を満たせば利用できます。
支援には、毎月の家賃を支える「家賃補助」と、家計改善のための住み替えを支える「転居費用補助」があります。転居費用補助は、2025年4月から加わった支援です。
家賃補助の対象者|離職・廃業や、やむを得ない収入減少などが条件
家賃補助では、世帯の生計を主に支えている方が、原則として次のいずれかに当てはまることが必要です。
- 離職・廃業から2年以内である
- 本人の責任や都合によらず、給与などを得る機会が減り、離職・廃業と同程度の状況にある
例えば、勤務先の都合でシフトが大幅に減った場合などは、仕事を続けていても対象になる可能性があります。
そのうえで、世帯全体の収入と預貯金などの資産が基準以下であることや、求職活動などの条件を満たす必要があります。原則として、ハローワークなどへの求職申し込みや職業相談、自立相談支援機関との面談などを行います。
収入・資産の基準額は、住んでいる地域や世帯人数によって異なります。親子2人、親子3人など、自分の世帯に当てはまる基準を確認しましょう。
家賃補助の金額・期間|原則3か月、延長で最大9か月
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 地域・世帯人数などに応じた上限の範囲内で、実際の家賃を支給。世帯収入に応じて減額される場合あり |
| 支給期間 | 原則3か月。一定の条件を満たす場合は3か月ごとに延長でき、最大9か月 |
| 対象費用 | 家賃。管理費・共益費・駐車場代などは対象外 |
| 支払い方法 | 原則として、自治体から貸主などへ直接支払い |
実際の支給額は、家賃だけでなく、世帯の収入なども踏まえて決まります。延長を希望する場合も、収入や求職活動などの条件を満たし、手続きを進める必要があります。
転居費用補助|家計を立て直すための引っ越し費用を支援
転居費用補助は、世帯収入が著しく減少し、家計改善のために転居が必要と認められた方に、引っ越しなどの費用を支給するものです。
主な条件には、次のようなものがあります。
- 世帯収入が著しく減少した月から2年以内で、住まいを失っている、または失うおそれがある
- 世帯全体の収入・金融資産が基準以下である
- 家計改善の相談を受け、転居による支出の削減が見込まれることと、転居費用の用意が難しいことが認められる
家賃の安い住宅への転居に加え、転居後の家賃が多少上がっても、交通費などを含めた家計全体の支出が減る場合も対象になり得ます。
補助される主な費用は、次のとおりです。
| 区分 | 主な費用 |
|---|---|
| 対象になる費用 | 家財の運搬費、礼金、仲介手数料、家賃債務保証料、住宅保険料、鍵交換費用、ハウスクリーニングなどの原状回復費用 |
| 対象外の費用 | 敷金、契約時に支払う家賃、家具・家電などの購入費 |
支給額は、転居先の自治体や世帯人数などに応じた上限額の範囲で、認められた費用の実費となります。対象外の費用や上限を超える部分については、自己負担が必要です。
この制度が向いている人
制度の目的を踏まえると、次のような方が検討しやすい支援です。
- 離職や勤務先の事情による収入減少で、仕事を立て直す間の家賃に困っている人
- 毎月の住居費を減らすために転居したいものの、引っ越しの初期費用を用意しにくい人
子どもの学校や保育園との関係から、現在の家で生活を続けたい場合は、家賃補助を受けながら仕事を探す方法が考えられます。一方、今後の収入を見込んでも現在の家賃が重い場合は、転居費用補助を含め、無理なく住み続けられる住宅への住み替えを相談するとよいでしょう。
申請方法|地域の自立相談支援機関へ相談する
相談・申請は、お住まいの地域の「自立相談支援機関」で受け付けています。窓口が分からない場合は、市区町村の福祉担当窓口で、住居確保給付金について相談したいと伝えましょう。
申請には、本人確認書類、離職や収入減少が分かる資料、世帯の収入・預貯金などが分かる資料、賃貸借契約書などを用意します。必要書類は、相談時に確認できます。
転居費用補助を希望する場合は、住宅の契約や費用の支払いを進める前に相談しましょう。家計改善の相談で転居の必要性や家賃の目安を整理し、申請・支給の予定に合わせて、不動産会社などと契約や支払いの時期を調整します。
セクション4|公営住宅|毎月の家賃負担を抑えたいひとり親家庭の選択肢
公営住宅は、住宅に困っている所得の低い方に、低廉な家賃で貸し出す住宅です。都営・県営・市営住宅などがあり、継続的に家賃負担を抑えたいひとり親家庭が検討できる住まいです。
母子家庭・父子家庭は、自治体や募集区分によって、抽選の優遇や優先枠などの対象になる場合もあります。
家賃と入居条件|世帯の所得や住宅の条件を確認しよう
公営住宅の家賃は、世帯の収入に加え、住宅の立地・広さ・建築後の経過年数などに応じて決まります。入居後も、毎年の収入申告などに基づいて見直されます。
入居には、世帯の所得が基準内であることや、現在、住宅に困っていることなどの条件があります。自治体によっては、その地域に住んでいる、または働いていることなども求められます。
収入の判定には、世帯の所得から所定の控除を差し引いて計算した金額を使います。ひとり親の控除などが反映される場合もあるため、募集案内の計算方法や早見表で、自分の世帯が対象になるか確認しましょう。
ひとり親家庭の優先入居|抽選の優遇や優先枠などがある
国土交通省は、公営住宅の優先入居の対象例として、住宅困窮度の高い母子・父子世帯などを挙げています。優先入居の方法には、主に次の3つがあります。
| 方法 | 仕組み |
|---|---|
| 倍率優遇方式 | 抽選の当選確率を、一般の申込者より高くする |
| 戸数枠設定方式 | 優先入居の対象世帯向けに、募集する住宅の枠を設ける |
| ポイント方式 | 家賃負担や現在の住居の状況などを点数化し、住宅困窮度の高い世帯から選ぶ |
どの方法を採用するか、ひとり親家庭をどのような条件で対象にするかは自治体によって異なります。「ひとり親世帯向けの優遇があるか」「どの住宅・募集区分で使えるか」を確認することが大切です。
公営住宅が向いている人|家賃と生活のしやすさを合わせて比較する
制度の特徴を踏まえると、次のような方が検討しやすい選択肢です。
- 今後も継続して、毎月の家賃負担を抑えたい人
- 候補となる住宅の立地や設備が、親子の生活に合っている人
- 募集から入居までの予定に合わせて、住み替えを進められる人
比較するときは、家賃と共益費・駐車場代に加え、通勤・通学にかかる費用や時間も確認しましょう。家賃が下がっても、送迎や通勤の負担が大きくなると、仕事と子育ての両立に影響します。
また、入居時には敷金や引っ越し費用なども必要になります。毎月の支出と、住み替え時に用意するお金を分けて整理すると、利用を判断しやすくなります。
申し込み方法|自治体や住宅公社などの募集案内を確認する
まずは、希望する地域の都道府県・市区町村の住宅担当窓口や、住宅を管理する公社などで募集情報を確認します。定期募集のほか、空き状況に応じた随時募集を行っている場合もあります。
募集案内では、次の点を確認しましょう。
- 入居資格と、ひとり親家庭の優遇条件
- 募集住宅の場所・間取り・家賃の目安
- 申込期間・必要書類・選考方法
- 入居予定時期と、敷金などの初期費用
申し込み後は、選考や入居資格の審査、必要な手続きを経て入居します。現在の住宅の退去時期を考えている方は、入居できる時期の見通しも、募集窓口で確認しておきましょう。
ただし、公営住宅は人気が高いため、抽選などでなかなか入居できないことも多いです。
なお、かつての公営住宅を民間会社が購入し、賃貸住宅として貸し出している場合もあります。この場合、建物は古いですが、抽選など不要で入居でき、家賃も安いです。
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セクション5|母子生活支援施設|住まいと生活・子育ての支援を受けたいとき
母子生活支援施設は、住まいや子育てなどに困難を抱える母親と子どもが、一緒に暮らしながら職員の支援を受けられる児童福祉施設です。住む場所の確保と、生活・就労・子育ての支援を合わせて受けられる点が特徴です。
対象者|生活や子どもの養育に支援が必要な母親と子ども
主な対象は、原則として18歳未満の子どもを養育する母子家庭で、生活上のさまざまな問題により、子どもを十分に養育することが難しい世帯です。
経済的な困難や住まいの問題、配偶者からの暴力など、家庭によって支援が必要な事情は異なります。離婚が成立していなくても、母子家庭に準ずる事情がある場合は、利用について相談できます。
施設での暮らしと支援内容|親子の状況に合わせて生活を整える
施設では、世帯ごとの居室で親子が生活し、母子支援員や少年指導員などの職員が、自立に向けた支援を行います。
主な支援には、次のようなものがあります。
| 支援の分野 | 主な内容 |
|---|---|
| 生活の支援 | 家計、健康、家族関係、各種手続きなどの相談 |
| 就労・自立の支援 | 仕事探しや求職活動、退所後の住まいなどに関する相談・援助 |
| 子育ての支援 | 育児相談、必要に応じた保育や関係機関との連携 |
| 子どもへの支援 | 学習や進路、日々の生活、心の状態などに応じた援助 |
親子の状況を踏まえて支援計画を作り、生活の安定や、その後の自立に向けて取り組みます。
居室の設備や保育の対応、生活上の決まりなどは施設によって異なります。外出や来訪者に関するルールもあるため、見学や面談の際に、実際の暮らし方を確認するとよいでしょう。
費用|施設の利用にかかる負担と、日々の生活費を分けて確認する
施設の利用にかかる負担額は、世帯の所得や課税状況などに応じて決まります。生活保護世帯・住民税非課税世帯について、利用料の本人負担を無料としている自治体もあります。
一方、食費や居室内の光熱水費など、日々の生活にかかる費用は原則として自己負担です。利用を検討するときは、施設に支払う金額だけでなく、親子で生活するために毎月どのくらい必要かも確認しましょう。
この支援が向いている人
施設の役割を踏まえると、次のような母親が検討しやすい支援です。
- 住まいの確保とともに、仕事や育児などの困りごとを継続して相談したい人
- 子どもと一緒に暮らしながら、生活を立て直すための支援を受けたい人
- 身近に頼れる相手が少なく、生活上の手続きや今後の住まいについても援助が必要な人
相談時には、現在困っていることに加え、仕事の時間帯、子どもの通園・通学、必要な育児支援などを伝えると、親子の生活に合う支援を検討しやすくなります。
利用方法|福祉事務所や自治体のひとり親相談窓口へ
利用を希望する場合は、お住まいの地域の福祉事務所や、自治体のひとり親相談窓口に相談します。母子・父子自立支援員などが、住まい・仕事・子育ての状況や、今後の希望を聞き取ります。
その後、施設の説明や見学・面談、必要書類の提出、審査などを経て入所を進めます。利用できる施設や費用、支援内容、入所までの流れは、相談員と確認しましょう。
セクション6|住宅の補修・転居費用に使える母子父子寡婦福祉資金貸付
母子父子寡婦福祉資金貸付は、ひとり親家庭などの経済的な自立を支える公的な貸付制度です。住まいに関係する資金として、住宅の補修・購入などに使う「住宅資金」と、引っ越しに必要な費用に使う「転宅資金」があります。
返済を前提とする制度ですが、連帯保証人などの条件により、無利子または年1.0%で利用できます。
対象者|母子家庭・父子家庭の親や、一定の条件を満たす寡婦など
主な対象は、20歳未満の子どもを扶養している母子家庭の母親・父子家庭の父親や、寡婦の方などです。
ここでいう寡婦は、配偶者がおらず、かつて母子家庭の母として子どもを扶養していた方を指します。一部の対象者には所得制限があり、資金の使い道や返済の見通しなども踏まえて貸付の審査が行われます。
住宅資金と転宅資金の違い|用途・限度額・返済期間を比較
基本的な貸付条件は、次のとおりです。
| 項目 | 住宅資金 | 転宅資金 |
|---|---|---|
| 主な用途 | 住宅の建設・購入・補修・保全・改築・増築 | 転居に必要な敷金・前家賃などの一時金や、必要な運送費など |
| 貸付限度額 | 原則150万円。特別な場合は200万円 | 26万円 |
| 据置期間 | 6か月 | 6か月 |
| 据置期間後の返済期間 | 6年以内。特別な場合は7年以内 | 3年以内 |
「据置期間」は、返済を始めるまでの期間です。その後、決められた返済期間内に、返済計画に沿って借りたお金を返します。住宅資金の特別貸付が使える条件や、具体的に対象となる費用は、相談窓口で確認しましょう。
利率は、どちらも連帯保証人を立てる場合は無利子、立てない場合は年1.0%が基本です。実際の貸付額は、限度額の範囲内で、必要な費用などを確認して決まります。
この制度が向いている人|必要な費用と返済の見通しを立てられるかがポイント
住宅資金・転宅資金は、次のような方が検討しやすい制度です。
- 現在の住まいを補修するなど、生活に必要な住宅費用を用意したい人
- 転居後の家賃は支払えるものの、敷金や引っ越し費用をまとめて用意することが難しい人
利用を考えるときは、必要な金額とともに、毎月いくら返せるかを整理しましょう。
例えば、転宅資金として18万円を無利子で借り、36回の月払いで均等に返すと仮定すれば、返済額は月5,000円です。転居後の家賃や生活費、子どもの教育費に、この返済額を加えて家計が成り立つかを確認すると、借入額を判断しやすくなります。
転居費用については、前のセクションで紹介した住居確保給付金や、次のセクションで紹介する自治体独自の補助も含め、利用できる支援を相談するとよいでしょう。
申請方法|費用の支払い時期が決まる前に相談する
まずは、お住まいの市区町村のひとり親家庭支援窓口や、福祉事務所などに相談します。母子・父子自立支援員などとの面談で、資金の用途、必要額、家計の状況、返済方法を確認します。
相談時には、工事や引っ越しの見積書、賃貸住宅の契約に必要な費用が分かる資料などを用意すると、対象になる費用を確認しやすくなります。正式な申請で必要な書類は、窓口の案内に沿ってそろえましょう。
貸付には書類の準備や審査の時間が必要です。契約や支払いを進める前に相談し、申請期限と、必要な時期までに資金を受け取れるかを確認しておくことが大切です。
セクション7|自治体独自の住宅手当・家賃補助|住んでいる地域の制度を確認しよう
自治体によっては、ひとり親家庭に住宅手当や転居費用の補助など、返済不要の支援を設けています。子どもの年齢、所得、居住年数、住宅の種類、転居の理由などの条件は、制度ごとに異なります。
ここでは、2026年10月時点で確認した制度例を紹介します。
現在の賃貸住宅で利用を検討できる住宅手当|浦安市・東久留米市
浦安市と東久留米市では、条件を満たすひとり親家庭などに、家賃の負担を軽減する住宅手当を支給しています。
| 自治体 | 支給額 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 千葉県浦安市 | 家賃の1万円を超える部分について、月額最大1万5,000円 | 20歳未満の子どもを養育するひとり親家庭で、市内に世帯主として住民登録があり、本人名義の賃貸借契約で月額1万円を超える家賃を負担していること。所得制限あり |
| 東京都東久留米市 | 月額3,500円 | 原則18歳未満の子どもと同居するひとり親家庭などで、市内の対象となる民間賃貸住宅の家賃を負担していること。所得制限や、ほかの住宅扶助を受けていないことなどの条件あり |
浦安市では、例えば対象となる家賃が月額2万円の場合、ほかの条件を満たせば、1万円を超える部分の月額1万円が支給されます。東久留米市では、一定の障害がある子どもについて、20歳未満まで対象となる場合があります。
今の家に住み続けながら、毎月の住居費を軽減したい方が確認したいタイプの制度です。両市とも、原則として申請した月の分から支給対象となるため、条件に当てはまりそうな場合は、早めに担当窓口へ相談しましょう。
対象住宅への転居で家賃負担を軽減する支援|世田谷区
世田谷区の「ひとり親世帯向け家賃低廉化補助事業」では、対象住宅に転居するひとり親世帯の家賃負担を、月額最大5万円・最長10年間軽減します。
区から家主などへ補助金を支払い、その分、入居者が支払う家賃が減額される仕組みです。主な条件には、次のようなものがあります。
- 世田谷区内に1年以上住んでいる
- 18歳に達した後、最初の3月31日までの子どもを養育している
- 世帯の所得が所定の基準以内である
- 住宅扶助や住居確保給付金などを受給していない
区による入居資格の確認や、不動産店などによる入居審査を経て、対象住宅への入居を進めます。
対象住宅の募集に合わせて住み替えを検討できる方に向いている支援です。減額される金額や期間は、住宅・所得・子どもの年齢などによって異なります。減額後の家賃と、共益費・敷金などを合わせて確認しましょう。
立ち退きによる家賃の上昇を支える助成|戸田市
戸田市の「ひとり親世帯民間賃貸住宅家賃差額助成事業」は、住宅の取り壊しなどで転居を求められ、市内の民間賃貸住宅に住み替えるひとり親世帯を対象とする制度です。
転居前後の家賃の差額を、月額3万円を上限として助成します。例えば、転居によって家賃が月額2万円上がる場合は、ほかの条件を満たせば、その差額が助成対象になります。
市内に1年以上住所があることや、住民税非課税世帯であることなどの条件があります。転居前の申請が必要なため、立ち退きを求められた段階で、担当窓口に相談しましょう。
礼金・仲介手数料を補助する支援|北区
東京都北区では、転居の事情や家族構成に応じて、礼金・仲介手数料を助成する制度があります。
主な例は次の2つです。いずれも、北区に1年以上居住し、区内の民間賃貸住宅から区内の民間賃貸住宅へ転居することや、所得などの条件があります。
| 制度 | 助成額 | 主な対象・条件 |
|---|---|---|
| 障害者世帯及びひとり親世帯転居費用助成 | 礼金・仲介手数料の合計で上限15万円 | 自己の責任によらない立ち退きを求められて転居する、ひとり親世帯など |
| ファミリー世帯転居費用助成 | 礼金・仲介手数料の合計で上限30万円 | 18歳未満の子どもを2人以上扶養・同居している世帯。最低居住面積水準以上で、転居前より広い住宅へ転居することなど |
ファミリー世帯転居費用助成には、ひとり親世帯も含まれます。子どもの成長などに合わせて、より広い住宅へ住み替えたい家庭は、ひとり親に限定されない子育て世帯向けの制度も確認するとよいでしょう。
どちらも申請期限は、住民基本台帳上の転居日から1年以内です。対象となる費用や住宅の条件、ほかの助成との併用条件なども、転居を計画する段階で確認しておきましょう。
自分の地域で探す方法|困っている費用を具体的に伝える
自治体の制度を探すときは、次のような言葉で検索し、公式ページを確認します。
- 「自治体名 ひとり親 住宅手当」
- 「自治体名 家賃補助」
- 「自治体名 転居費用 助成」
- 「自治体名 子育て世帯 住み替え」
相談先は、自治体のひとり親支援窓口や住宅担当窓口です。「毎月の家賃を軽くしたい」「立ち退きで転居が必要」「引っ越しの初期費用を補助してほしい」など、どの費用に困っているかを具体的に伝えると、自分に関係する制度を確認しやすくなります。
セクション8|自分に合う住宅支援の選び方と申請前の確認事項
住宅支援を選ぶときは、「どの費用に困っているか」「今の家に住み続けたいか」「就職や転居の予定があるか」を整理すると、自分に関係する制度を探しやすくなります。
困っていることから、相談する制度の候補を選ぶ
ここまで紹介した制度の目的を踏まえると、主に次のように整理できます。
| 現在の状況・希望 | 確認したい制度・支援 |
|---|---|
| 毎月の家賃負担を継続的に軽くしたい | 自治体の住宅手当・家賃補助、公営住宅 |
| 離職や勤務先の事情による収入減少で、家賃の支払いが難しい | 住居確保給付金の家賃補助 |
| 就職や収入増につながる転職を目指しながら、家賃の支援を受けたい | ひとり親家庭住宅支援資金貸付 |
| 家計改善などのために転居したいが、初期費用を用意しにくい | 住居確保給付金の転居費用補助、自治体の転居費用助成、転宅資金 |
| 住まいとともに、生活・子育ての支援が必要 | 母子生活支援施設など |
| 住宅の補修などに必要な費用を用意したい | 母子父子寡婦福祉資金の住宅資金 |
この表は、相談する制度を選ぶための目安です。実際の利用条件は、各制度の対象者・所得・住宅・就労などの条件と照らし合わせて確認します。
住み替えは、補助後の自己負担と毎月の支出を合わせて考える
転居を検討する場合は、補助を受けた後に用意する初期費用と、転居後の毎月の支出を分けて計算しましょう。
例えば、家賃が月2万円安くなる一方、交通費が月5,000円増えると仮定すると、毎月の負担軽減は差し引き1万5,000円です。引っ越し費用の自己負担がどのくらい残るかも確認すると、住み替えによる家計への効果を判断しやすくなります。
金額に加え、通勤や送迎の時間、子どもの通園・通学への影響も含めて、親子が暮らしを続けやすいかを考えることが大切です。
相談前に整理しておきたい情報
相談するときは、次の情報を分かる範囲でまとめておくと、状況を伝えやすくなります。
- 家族の状況: 子どもの人数・年齢、同居する家族、離婚や別居の状況
- 収入・資産: 給与や各種手当、預貯金などの状況
- 現在の住まい: 家賃・共益費、賃貸借契約の名義、居住年数
- 今後の予定: 就職・転職、転居、契約や費用の支払いの予定日
- 利用中の支援: 住宅扶助、住居確保給付金、自治体の家賃補助など
住宅費の支援をすでに受けている場合は、その制度名と金額も伝えましょう。制度によって、併用の制限や支援額の調整があります。
貸付を利用する場合は、毎月の返済額や返済開始時期も確認します。返済免除のある住宅支援資金貸付では、免除に必要な就職・転職の条件、期限、申請手続きまで相談員と共有しておきましょう。
なお、当サイトでは、ひとり親家庭向けの返済不要な奨学金リストも公開しています。当サイトでしかみれないリストです。
▶リストはこちら
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参考ページ
ひとり親家庭住宅支援資金貸付
- こども家庭庁|母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業について
- こども家庭庁|母子・父子自立支援プログラム策定事業について
- 神奈川県社会福祉協議会|ひとり親家庭住宅支援資金貸付事業
- 神戸市|ひとり親家庭住宅支援資金貸付
貸付対象、月額上限、貸付期間、返済免除の条件、申請手続きの確認に参照しています。
住居確保給付金
