シングルマザー・ひとり親家庭の就労支援制度5選|資格取得の給付金・貸付金を解説

この記事はPRを含んでいます

資格を取って就職・転職したいけれど、受講料や生活費が心配なひとり親家庭の方へ。このページでは、シングルマザーなどが検討できる5つの公的就労支援制度を紹介します。給付金・貸付金の金額や対象条件、申請方法を整理し、自分に合う支援を探せるよう解説します。

自立支援教育訓練給付金と高等職業訓練促進給付金については、支援の目的・対象講座・支給額・支給期間を比較します。受講費用と修業中の生活費を分けて確認し、働きながら講座を受ける場合や、長期間学校に通う場合に、どのような支援を検討できるかを説明します。

入学や就職の準備費用については、ひとり親家庭高等職業訓練促進資金などの貸付制度を取り上げます。借りられる金額や使い道だけでなく、返還免除の条件や返済が必要になる場合も確認し、資格取得後の働き方と返済の見通しを考えるためのポイントを説明します。

一方で、受講前の手続きや制度の併用、所得・世帯状況に関する条件など、申請前に確かめたい点もあります。申請から受け取りまでの流れも取り上げ、費用の支払時期に合わせて準備するための注意点を整理します。その他の点も含めて、分かりやすく解説していきます。

目次

セクション1|ひとり親家庭が利用できる5つの公的就労支援制度とは?

ひとり親家庭が資格取得や就職、転職を目指す際には、国や自治体の公的就労支援制度を利用できます。受講費用や修業中の生活費を支援する給付金、入学・就職準備費用の貸付金、在宅ワークを支援する事業など、目的に応じた制度が用意されています。

このページでは、母子家庭の母・父子家庭の父などが利用できる5つの公的就労支援制度を紹介します。

制度名主な支援内容
① 自立支援教育訓練給付金資格取得・講座受講費用の一部を支給
② 高等職業訓練促進給付金資格取得に向けて学校などで学ぶ間の生活費を支給
③ ひとり親家庭高等職業訓練促進資金入学・就職準備費用を貸付。条件を満たせば返還免除
④ 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度資格取得・就職・開業などに必要な資金を貸付
⑤ ひとり親家庭の在宅就業推進事業在宅ワークのスキル習得や仕事の受注などを支援

給付金は原則として返済不要ですが、貸付金は返済が必要になる場合があります。また、対象者や所得条件、申請時期などは制度ごとに異なり、在宅就業推進事業のように一部の地域でしか利用できないものもあります。

複数の制度を組み合わせられる場合もあるため、自分が必要としているのは学費の支援なのか、修業中の生活費なのか、就職に向けた支援なのかを整理することが大切です。

以下では、各制度の対象者・支援内容・申請方法・注意点に加え、どのような人に向いているかを具体的に解説します。

セクション2|自立支援教育訓練給付金|資格取得・講座受講費用を支援

自立支援教育訓練給付金は、母子家庭の母・父子家庭の父が、就職や転職に役立つ資格・技能を身につけるための講座を受講した場合に、その費用の一部を支給する国の制度です。

2026年度は、対象講座の受講費用の原則60%が支給され、一定の専門資格を取得して就職・転職した場合は最大85%まで支援されます。給付金なので返済は不要です。

ただし、講座の種類によって上限額が異なり、受講前の申請も必要です。利用条件や注意点を確認しておきましょう。

2-1.対象者は?ひとり親家庭なら誰でも利用できる?

主な対象は、20歳未満の子どもを扶養する母子家庭の母・父子家庭の父で、次の条件を満たす人です。

  • 母子・父子自立支援プログラムの策定などの支援を受けていること
  • 現在の就業経験や資格・技能の状況から、講座の受講が適職への就職に必要と認められること
  • 原則として、過去に同じ自立支援教育訓練給付金を受けていないこと

児童扶養手当を受給していない人でも、条件を満たせば対象になる場合があります。

一方、資格を取得したいという希望だけで利用できるわけではありません。講座の内容が就職や転職に役立つかどうか、自治体による事前相談と審査があります。

また、講座の受講中や支給申請時に、再婚・事実婚などによってひとり親家庭ではなくなった場合、給付金を受け取れなくなることがあります。

2-2.いくらもらえる?2026年度の支給額と上限

給付金の支給額は、受講する講座の区分によって異なります。

対象講座の区分支給額上限額
一般教育訓練受講費用の60%20万円
特定一般教育訓練受講費用の60%20万円
専門実践教育訓練受講費用の60%年40万円・最大160万円
専門実践教育訓練の追加支給受講費用の25%を追加年20万円・最大80万円

※追加支給は、対象講座の修了後1年以内に資格を取得し、その資格を活かして就職・転職などをした場合です。基本支給と合わせて最大85%、総額の上限は240万円です。

例えば、一般教育訓練の対象講座を受講し、費用が20万円だった場合は、12万円の給付金を受け取れる計算です。

専門実践教育訓練では、2年間の受講費用が120万円の場合、基本支給は72万円です。修了後に資格取得・就職などの条件を満たせば、さらに30万円が支給され、合計102万円になります。

ただし、雇用保険の教育訓練給付金を利用できる場合は、その支給額を差し引いて計算します。

また、計算上の支給額が12,000円以下の場合は対象外です。

2-3.どんな資格・講座が対象になる?

対象となるのは、厚生労働省が指定する教育訓練講座などのうち、自治体が就職・転職に必要と認めた講座です。

講座の種類によって対象となる資格や学習内容が異なります。

講座の区分対象講座の例
一般教育訓練簿記、IT・パソコン関連、語学など
特定一般教育訓練就職・キャリア形成に直結する資格取得講座など
専門実践教育訓練看護師、介護福祉士、保育士などの専門資格取得を目指す養成課程

※具体的な講座が対象になるかどうかは、厚生労働省の指定状況と自治体の判断によります。

対象講座は、厚生労働省のページで検索できます。

ただし、検索システムに掲載されている講座なら、必ず自立支援教育訓練給付金を受け取れるわけではありません。

特に、特定一般教育訓練と専門実践教育訓練では、専門資格の取得を目的とする講座など、ひとり親向け給付金独自の条件があります。

受講したい講座を見つけたら、申し込む前に自治体へ相談し、給付対象となるか確認しましょう。

2-4.注意点|受講前の講座指定と費用の立て替えが必要

利用する際に、特に注意したいのは次の3点です。

① 講座に申し込む前に自治体へ相談する

自立支援教育訓練給付金を利用したい場合は、受講する講座を決めた段階で、申し込む前に自治体の窓口へ相談しましょう。

給付金を受け取るには、原則として受講開始前に申請し、希望する講座が支援の対象として認められる必要があります。すでに受講を始めている場合は、給付金を受け取れないことがあります。

自治体によっては、事前相談や必要な手続きに1か月程度かかるため、講座の開始日から余裕を持って相談することが大切です。

② 受講費用を先に自分で用意する必要がある

給付金は、原則として講座修了後に申請して受け取る仕組みです。

そのため、入学金や受講料を支払う時点では、原則として自分で費用を用意する必要があります。

一部の専門実践教育訓練講座では、一定期間ごとの支給が認められる場合もありますが、利用できる条件は自治体に確認が必要です。

③ 雇用保険の教育訓練給付金とは差額調整される

会社員などとして雇用保険に加入していた人は、ハローワークの教育訓練給付金を受けられる場合があります。

その場合、ひとり親向けの給付金が全額上乗せされるわけではありません。

例えば、自立支援教育訓練給付金の計算額が12万円で、雇用保険の教育訓練給付金が4万円支給される場合、ひとり親向けの給付金は差額の8万円になります。

雇用保険の受給資格がある人は、ハローワークでの手続きも必要です。

2-5.向いている人・向いていない人

向いている人

  • 就職・転職に役立つ資格を取得したい人
  • 簿記やITスキルなどを身につけ、仕事の選択肢を増やしたい人
  • 働きながら講座を受講し、収入アップを目指したい人
  • 受講費用を一時的に用意でき、修了後に給付金を受け取りたい人

特に、現在の仕事を続けながら資格や技能を身につけたい人には、利用しやすい制度です。

向いていない人

  • 趣味や教養を目的とする講座を受講したい人
  • 対象講座以外の学習サービスを利用したい人
  • 受講費用を事前に用意できない人
  • 資格取得のために仕事を休む必要があり、受講中の生活費を確保したい人

受講費用の立て替えが難しい人は、別の貸付制度などを検討する必要があります。

また、看護師・保育士などの資格取得を目指し、修業期間中の生活費も必要な人は、次に紹介する「高等職業訓練促進給付金」も確認しましょう。こちらは受講費用ではなく、資格取得中の生活費を支援する制度です。

2-6.申請方法|事前相談から給付金受給まで

自立支援教育訓練給付金の申請は、基本的に次の流れで進みます。

  1. 対象講座を探す:厚生労働省の検索システムなどで、希望する資格・講座を確認する。
  2. 自治体の窓口で事前相談する:就職・転職の希望、受講する必要性、雇用保険の受給資格などを確認する。
  3. 受講前に講座指定を申請する:講座の資料や必要書類を提出し、対象講座として指定を受ける。
  4. 講座を受講・修了する:修了証明書、領収書などを保管する。
  5. 給付金の支給申請をする:原則として修了後30日以内に自治体へ申請する。
  6. 追加支給を申請する:専門実践教育訓練の修了後、期限内に資格取得・就職などの条件を満たした場合は、別途申請する。

必要書類には、戸籍謄本、講座の内容・費用が分かる資料、教育訓練給付金支給要件回答書などがあります。書類の種類や省略できる条件は自治体によって異なります。

給付金の支給を受けたい場合は、講座に申し込む前に住んでいる自治体のひとり親家庭支援担当窓口へ相談することが、最初の重要な手続きです。

セクション3|高等職業訓練促進給付金|資格取得中の生活費を支援

高等職業訓練促進給付金は、母子家庭の母・父子家庭の父が、就職や収入アップにつながる資格を取得するために学校などで学ぶ場合、修業期間中の生活費を支援する国の制度です。

2026年度は、住民税非課税世帯で月額10万円、課税世帯で月額70,500円が基本となり、修業期間の最後の12か月は月額4万円が加算されます。原則として最長4年間支給され、返済の必要はありません。

前のセクションで紹介した「自立支援教育訓練給付金」が主に受講費用を支援する制度なのに対し、こちらは資格取得のために仕事を減らしたり、長期間学校に通ったりする人の生活を支える制度です。

3-1.対象者は?ひとり親家庭なら誰でも利用できる?

主な対象は、20歳未満の子どもを扶養する母子家庭の母・父子家庭の父で、次の条件を満たす人です。

  • 児童扶養手当を受給しているか、同等の所得水準にある
  • 対象資格の取得を目指し、養成機関で6か月以上のカリキュラムを修業する
  • 仕事や育児と学業の両立が難しいと認められる
  • 原則として、過去に高等職業訓練促進給付金を利用していない
  • 同じ目的のほかの生活費支援給付金を受けていない

児童扶養手当を実際に受給していなくても、所得条件を満たしていれば対象となる場合があります。こども家庭庁は所得水準の例として、子ども1人の場合、年間収入385万円未満を挙げています。

また、受給中に収入が増えて所得基準を超えた場合でも、一定の条件で1年間は引き続き支援を受けられます。

ただし、所得条件だけで利用できるわけではありません。資格取得の必要性や修業の見込みなども確認されるため、受講前に自治体へ相談することが大切です。

3-2.いくらもらえる?支給額・支給期間

高等職業訓練促進給付金には、修業期間中に毎月支給される給付金と、修了後に支給される「高等職業訓練修了支援給付金」があります。

2026年度の基本的な支給額は次のとおりです。

支給内容住民税非課税世帯住民税課税世帯
通常の月額100,000円70,500円
最後の12か月の月額140,000円110,500円
修了支援給付金(1回)50,000円25,000円

支給期間は修業に必要な期間で、原則として最長4年間です。2026年度からは、准看護師養成機関を修了して引き続き看護師養成機関に進学する場合、通算5年間まで支援を受けられる仕組みも設けられています。

例えば、住民税非課税世帯の人が2年間の養成課程に通い、全期間にわたり対象となった場合、通常の12か月で120万円、最後の12か月で168万円、合計288万円が支給される計算です。修了支援給付金5万円も受けられれば、総額は293万円になります。

ただし、実際の支給額は修業期間や課税状況、申請時期などによって異なります。

3-3.対象資格は?看護師・保育士・介護福祉士以外も利用できる?

対象となるのは、就職や経済的な自立に役立ち、原則6か月以上の修業を必要とする資格です。

分野対象資格の例
医療看護師、准看護師、歯科衛生士
介護・福祉介護福祉士、社会福祉士
保育保育士
リハビリ理学療法士、作業療法士
理美容・調理美容師、調理師、製菓衛生師
IT・情報通信シスコシステムズ認定資格、LPI認定資格など

看護師や保育士などの国家資格だけでなく、一定の条件を満たすIT・デジタル分野の民間資格も対象となります。

ただし、資格名が対象例に含まれていても、すべての学校や講座が自動的に対象になるわけではありません。講座の指定状況や受講期間、学習方法なども確認されます。

また、通信講座は対象となる場合とならない場合があります。学校や講座を申し込む前に、希望する資格・講座が給付対象になるかを自治体で確認しましょう。

対象になりうる講座はこちらで検索できます。

厚生労働省|教育訓練給付制度検索システム

学校名・講座名などから、厚生労働省が指定する教育訓練講座を検索できます。ただし、最終判断はあなたの住んでいる自治体です。

3-4.2026年度からは子どもが20歳になっても支援を継続できる

従来は、修業期間中に子どもが20歳になることで、ひとり親家庭としての年齢要件を満たさなくなり、資格取得まで給付金を受けられない問題がありました。

そこで、2026年度から「高等職業訓練促進継続給付金」が設けられました。

これは、高等職業訓練促進給付金を受給している途中で子どもが20歳に達した場合でも、引き続き子どもを扶養し、所得などの条件を満たしていれば、同等の支援を受けられる制度です。

例えば、18歳の子どもを育てながら3年間の看護師養成課程に進学する場合、修業中に子どもが20歳になっても、条件を満たせば給付を継続できる可能性があります。

ただし、最初から20歳以上の子どもしか扶養していない場合に、新たに利用できる制度ではありません。受給中に年齢要件を超える人を対象とした継続支援です。

3-5.申請方法は?学校に入学する前に相談しよう

高等職業訓練促進給付金は、住んでいる自治体のひとり親家庭支援担当窓口などで相談・申請します。

基本的な流れは次のとおりです。

  • 事前相談:取得したい資格や学校、修業期間、所得条件などを自治体に伝え、制度の利用が可能か確認する。
  • 支給申請:必要な書類をそろえ、自治体に申請する。審査で認められれば給付が始まる。
  • 修業・修了後の手続き:在学状況などの確認に対応し、修了後は修了支援給付金の申請を行う。

必要書類には、戸籍関係の書類、所得を確認できる書類、在学証明書などがあります。具体的な提出書類や申請期限は自治体によって異なります。

特に注意したいのが申請時期です。多くの自治体では、給付金の支給は申請した月からとなり、申請前の修業期間にさかのぼって支給されません。

進学先を決めてから相談するのではなく、資格や学校を比較している段階で窓口に問い合わせておくと安心です。

3-6.利用する際の注意点|学費やほかの給付金はどうなる?

高等職業訓練促進給付金を利用するときは、次の点にも注意しましょう。

① 学費がすべて無料になる制度ではない

高等職業訓練促進給付金は、主に生活費を支える制度です。授業料や教材費、実習費などの学費がすべて免除されるわけではありません。

学費の負担が大きい場合は、前述の自立支援教育訓練給付金や、次のセクションで紹介する「ひとり親家庭高等職業訓練促進資金」の利用も検討できます。

② ほかの生活費支援給付金と併用できない場合がある

雇用保険制度の教育訓練支援給付金や、求職者支援制度の職業訓練受講給付金など、同じ目的の給付金とは原則として併用できません。

一方、受講費用を支援する教育訓練給付金などは、条件によって併用できる場合があります。詳しくはセクション8で説明します。

③ 原則として1人1回の制度

高等職業訓練促進給付金は、基本的に1人1回の利用です。准看護師から看護師への継続進学などの例外はありますが、別の資格を取得するたびに何度も利用できる制度ではありません。

そのため、取得する資格を決める際は、就職先の選択肢や収入の見込み、子育てとの両立なども考えておきましょう。

3-7.どんな人に向いている?長期間の資格取得を考えている人におすすめ

高等職業訓練促進給付金は、特に次のような人が検討したい制度です。

  • 看護師や保育士など、取得までに長期間の通学が必要な資格を目指す人
  • 現在の仕事から、専門資格を活かした安定的な仕事への転職を考えている人
  • 資格取得中に勤務時間を減らす必要があり、生活費の負担が心配な人
  • 子育てと学業を両立しながら、将来的な収入アップを目指したい人

一方、数週間程度の短期講座を受講したい人や、主な負担が受講料だけという人は、セクション2の自立支援教育訓練給付金のほうが利用しやすい場合があります。

長期間かけて専門資格を取得したい場合は「高等職業訓練促進給付金」、比較的短期間の講座でスキルを身につけたい場合は「自立支援教育訓練給付金」を中心に検討すると、自分に合った制度を選びやすくなります。

なお、収入や通学時間だけでなく、実習期間中の子どもの預け先や、資格取得後の勤務形態まで考えておくことも重要です。給付金は生活の負担を軽減する手段として活用し、無理なく修業を続けられる計画を立てましょう。

セクション4|ひとり親家庭高等職業訓練促進資金|入学・就職準備費用などを貸付

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金は、母子家庭の母・父子家庭の父が、就職に役立つ資格を取得する際に必要な入学費用や、資格取得後の就職準備費用を支援する公的な貸付制度です。

入学準備金として最大50万円、就職準備金として最大20万円、合計最大70万円を借りられます。さらに、取得した資格を活かして5年間働くなどの条件を満たせば、返還が全額免除されます。

前のセクションで紹介した「高等職業訓練促進給付金」の利用者を対象とする制度で、修業中の生活費だけでなく、入学時や就職時のまとまった出費にも備えられます。ただし、こちらは給付金ではなく貸付金であり、返還免除の条件を満たさなければ返済が必要です。

4-1.対象者は?高等職業訓練促進給付金を利用している人が対象

主な対象は、高等職業訓練促進給付金の支給を受けている、20歳未満の子どもを養育する母子家庭の母・父子家庭の父です。

基本的には、次の条件を満たす必要があります。

  • 高等職業訓練促進給付金の支給決定を受けている
  • 看護師や保育士など、就職に役立つ資格の取得を目指して養成機関で学んでいる
  • 資格取得後、原則1年以内に資格を活かした仕事に就く意思がある
  • 貸付を受ける地域の指定された範囲で、5年間働く見込みがある
  • 同じ目的の公的貸付金などを重複して利用していない

例えば、看護師を目指して専門学校に通うひとり親の方が、高等職業訓練促進給付金を受給している場合、入学準備金の貸付対象となる可能性があります。

なお、ひとり親家庭であれば誰でも借りられる制度ではありません。高等職業訓練促進給付金を受給していることが基本条件となるため、まずは前のセクションで紹介した制度の利用資格を確認しましょう。

また、貸付には審査があり、条件を満たしていても必ず利用できるとは限りません。

4-2.いくら借りられる?入学準備金50万円・就職準備金20万円

貸付金には、入学時と就職時に利用できる2つの種類があります。

貸付金の種類貸付上限額主な使い道
入学準備金50万円入学金、教材費、参考書、学用品、通学交通費など
就職準備金20万円就職に伴う転居費用、仕事用の衣服、通勤用品など
合計最大70万円入学・就職に必要な費用

① 入学準備金|最大50万円

養成機関への入学時に必要となる費用を支援する貸付金です。

例えば、看護専門学校に入学する場合、入学金や教科書代、実習に必要な学用品、通学に必要な費用などに充てられます。

ただし、借入額は必要な費用などをもとに審査されるため、必ず50万円を借りられるわけではありません。

② 就職準備金|最大20万円

養成機関を修了して資格を取得し、その資格を活かした仕事に就く際の費用を支援する貸付金です。

例えば、就職に伴って引っ越しが必要になった場合の転居費用や、勤務に必要な衣服・通勤用品などに利用できます。

入学準備金と就職準備金は、それぞれ別に申請できます。両方を利用することも、必要な一方だけを利用することも可能です。

なお、実際に貸付金が交付されるのは、原則として入学後・就職後です。入学金の納付期限に間に合うとは限らないため、支払時期も含めて確認しておきましょう。

4-3.返済は必要?5年間働けば全額免除になる

この制度の大きな特徴は、資格取得後に一定の条件で5年間働くと、貸付金の返還が全額免除されることです。

返還免除を受けるためには、主に次の条件を満たす必要があります。

  • 養成機関を修了し、必要な資格を取得する
  • 原則として資格取得後1年以内に、その資格が必要な仕事に就く
  • 貸付元が指定する地域内などで働く
  • 原則として週20時間以上の仕事に従事する
  • その仕事を5年間継続する
  • 就業状況などの必要書類を提出し、返還免除の申請をする

例えば、看護師を目指して入学準備金50万円を借りた人が、卒業後に看護師資格を取得し、指定地域の病院で5年間働いた場合、条件を満たせば50万円の返還が免除されます。

入学準備金と就職準備金の両方を借りていれば、最大70万円が免除対象となります。

また、週20時間以上などの条件を満たせば、必ずしも正社員である必要はありません。パート勤務などでも返還免除の対象となる場合があります。

ただし、資格を取得しただけで返還が免除されるわけではありません。資格とは関係のない仕事に就いた場合や、指定地域外で働いた場合などは、返還免除の対象にならない可能性があります。

4-4.返還免除にならない場合は?利子や返済条件にも注意

返還免除の条件を満たせなかった場合は、原則として借りた資金を返済する必要があります。

例えば、次のような場合です。

  • 養成機関を途中で退学した
  • 資格を取得できなかった
  • 資格取得後、定められた期間内に就職できなかった
  • 資格を活かした仕事を5年間続けられなかった
  • 指定された地域外に転職した

ただし、病気や出産、育児など、やむを得ない事情がある場合には、返還猶予や一部免除などの対象となることがあります。

貸付金の利子については、基本的に次の仕組みです。

連帯保証人利子
連帯保証人あり無利子
連帯保証人なし返還猶予期間の経過後は年1.0%

返済が必要になった場合の期間や方法は、貸付元の規定によって異なります。

5年間の就業を継続できる見込みがあるかは、利用前に考えておきたいポイントです。子育てとの両立が難しくなったり、家庭の事情で転居が必要になったりする可能性も踏まえ、無理のない計画を立てましょう。

4-5.申請方法は?高等職業訓練促進給付金の相談時に確認しよう

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金は、都道府県や指定都市などが実施する貸付事業です。実際の貸付窓口は、社会福祉協議会などが担う場合が多くなっています。

基本的な申請の流れは次のとおりです。

1.高等職業訓練促進給付金について相談する

まずは、自治体のひとり親家庭支援担当窓口で、資格取得や進学の計画を相談します。この段階で、入学準備金の貸付制度も利用できるか確認しましょう。

2.貸付窓口で申請する

必要書類をそろえて、社会福祉協議会などに貸付を申請します。

主な必要書類には、次のようなものがあります。

  • 貸付申請書
  • 住民票などの本人・世帯確認書類
  • 高等職業訓練促進給付金の支給決定通知書
  • 入学または資格取得を確認できる書類
  • 借入金の使い道や必要額がわかる書類

就職準備金では、就職先や勤務条件を確認できる書類なども求められます。

3.審査・貸付決定後に資金を受け取る

審査で貸付が認められた場合、借用書などの手続きを経て、指定口座に資金が振り込まれます。

4.修業・就職状況を報告し、返還免除を申請する

借入後も、在学状況や就業状況などについて定期的な確認があります。5年間の就業などの条件を満たした後は、返還免除を申請します。

特に注意したいのが、入学準備金と就職準備金には、それぞれ申請期限があることです。

例えば、東京都社会福祉協議会の2026年度の案内では、入学準備金は入学日から3か月以内、就職準備金は資格取得後に就職が決定した日から3か月以内とされています。

申請期限は貸付元によって異なるため、進学前から相談しておくことをおすすめします。

4-6.ほかの給付金・貸付金と併用できる?利用時の注意点

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金を利用するときは、次の点にも注意しましょう。

① 高等職業訓練促進給付金とは一緒に利用できる

前のセクションで紹介した高等職業訓練促進給付金は、修業期間中の生活費を支える制度です。

これに対して、ひとり親家庭高等職業訓練促進資金は、入学時や就職時の費用を貸し付ける制度です。

高等職業訓練促進給付金の受給者が、追加で利用できる仕組みになっています。

② 自立支援教育訓練給付金などとは併用できない場合がある

一方、セクション2の自立支援教育訓練給付金や、雇用保険制度の教育訓練給付金については注意が必要です。

これらの給付金と入学準備金は、同じ講座について併用できない取扱いがあります。

また、保育士修学資金や介護福祉士等修学資金など、同じ目的の公的貸付制度との併用も制限されています。

ただし、就職準備金については取扱いが異なる場合があります。複数の支援を利用したい場合は、申請前に併用の可否を確認しましょう。詳しくはセクション8で説明します。

③ 資格取得後の就職先や勤務時間にも条件がある

返還免除を目指す場合、資格取得後の就職先や勤務期間にも注意が必要です。

例えば、地元の病院で働くことを予定していても、その病院が貸付元の指定地域外にある場合、返還免除を受けられない可能性があります。

また、子育てとの両立を理由に勤務時間を週20時間未満に減らした場合も、条件を満たさなくなることがあります。

さらに、修業中に再婚したり、子どもが20歳になったりして受給資格が変わる場合も、貸付への影響を確認する必要があります。

そのため、借入時には学費だけでなく、卒業後にどこで、どのような働き方をするかまで考えておくことが大切です。

4-7.どんな人に向いている?資格取得後も長く働きたい人におすすめ

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金は、特に次のような人が検討したい制度です。

  • 看護師や保育士などの資格取得を目指しており、入学時のまとまった費用を用意するのが難しい人
  • 高等職業訓練促進給付金を利用しているが、生活費以外の教育費も負担になっている人
  • 資格取得後に転居や通勤用品の購入が必要になる人
  • 資格を活かした仕事に就き、同じ地域で長く働くことを考えている人

一方、資格取得後すぐに県外へ転居する予定がある人や、勤務時間・就業期間の条件を満たすことが難しい人は、返済が必要になる可能性も考えておきましょう。

この制度は、入学・就職に必要な資金を確保し、資格取得後の安定した就業につなげたい人に向いています。

ただし、最大70万円を借りられるからといって、必ずしも上限まで利用する必要はありません。必要な費用と将来の働き方を整理し、返済が必要になった場合にも対応できる範囲で検討しましょう。

セクション5|母子父子寡婦福祉資金貸付金制度|資格取得・就職・開業に使える資金

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、母子家庭・父子家庭・寡婦などの経済的な自立を支援する公的な貸付制度です。親自身の資格取得や開業、子どもの進学・就職、生活費や住宅費など、12種類の資金が用意されています。

就労に関する資金には、親が資格や技能を身につけるための「技能習得資金」、開業に必要な「事業開始資金」、子どもの就職準備に使える「就職支度資金」などがあります。無利子または年1.0%の低金利で借りられますが、原則として返済が必要です。

貸付限度額や対象者、申請方法は資金の種類によって異なります。利用できる12種類の資金と、それぞれの条件については、以下のページで詳しく解説しています。

▶母子父子寡婦福祉資金貸付金制度とは?12種類・対象者・限度額・申請方法を解説

セクション6|ひとり親家庭の在宅就業推進事業|在宅ワークを目指す人への地域限定支援

ひとり親家庭の在宅就業推進事業は、子育てと仕事を両立しながら、自宅で収入を得たい人を支援する公的な就労支援制度です。在宅ワークに必要なスキルの習得から、実際の仕事への挑戦、継続的な収入の確保までをサポートします。

特徴は、講座で勉強するだけでなく、在宅就業コーディネーターなどの支援を受けながら、実際に仕事を経験できることです。未経験から在宅ワークを始めたい人や、すでに在宅で働いていて収入を増やしたい人にも役立ちます。

ただし、全国どこでも利用できる制度ではなく、実施地域が限られています。支援内容や募集時期も自治体によって異なるため、住んでいる地域で利用できるか確認する必要があります。

6-1.対象者は?ひとり親家庭なら誰でも利用できる?

主な対象は、在宅で働くことを希望する母子家庭の母・父子家庭の父です。自治体によっては寡婦や、ひとり親家庭の子どもも対象になります。

具体的な利用条件は自治体ごとに定められていますが、主に次のような点が確認されます。

  • 事業を実施する都道府県などに住んでいる
  • 在宅ワークによって収入を得る意欲がある
  • パソコンやインターネットなど、仕事に必要な環境がある
  • 講習や面談、仕事の報告などに参加できる
  • 募集期間内に申し込み、必要な選考を通過する

例えば、東京都の2026年度事業では、都内在住のひとり親・寡婦で、自宅にパソコンとインターネット環境がある人を対象としています。

また、パソコンの使用経験や収入獲得への意欲、毎月の報告会に参加できるかどうかなども選考基準となっています。

ひとり親家庭であれば自動的に利用できるわけではありません。募集人数にも限りがあるため、対象条件と申込期間を確認しましょう。

6-2.どんな支援を受けられる?スキル習得から仕事の紹介まで

在宅就業推進事業では、自治体や委託先の事業者が、参加者の経験や希望に合わせて支援を行います。

主な支援内容は次のとおりです。

支援内容具体例
個別相談・支援計画経験や希望収入をもとに目標を設定する
スキル習得パソコン操作、ビジネススキル、在宅業務に必要な知識を学ぶ
仕事の紹介・受注支援在宅でできる仕事の紹介や受注をサポートする
実務経験実際の仕事に取り組み、納品や報酬の受け取りを経験する
継続支援仕事の進め方を改善し、継続的な受注や収入アップを目指す

実際に扱われる在宅ワークには、データ入力、ライティング、音声の文字起こし、資料作成、電話対応などがあります。

また、沖縄県の2026年度事業では、生成AI講座やビジネススキル講座、eラーニングなども用意されています。

仕事を紹介してもらいながら実務経験を積めることは、一般的な資格講座との大きな違いです。在宅ワークの経験が少ない人でも、仕事の進め方や報酬を得るまでの流れを学べます。

ただし、紹介される仕事の種類や量、報酬は事業や本人のスキルによって異なります。

6-3.2026年度はどこで実施している?東京都・沖縄県の例

2026年度の実施例として、東京都と沖縄県の事業を紹介します。

① 東京都|ひとり親家庭等在宅就業推進事業

東京都では、在宅ワークで継続的に収入を得られるよう、個別の支援計画を作成し、仕事の経験やスキルアップを支援しています。

2026年度の募集内容は次のとおりです。

項目内容
対象都内在住のひとり親・寡婦
募集人数35人
支援期間2026年6月27日~2027年3月末
申込期間2026年4月27日~6月5日
主な業務データ入力、ライティング、クラウドソーシングなど

在宅就業コーディネーターやひとり親サポーターが、参加者ごとの目標に合わせて支援を行います。

② 沖縄県|在宅ワークチャレンジプログラム

沖縄県でも、在宅ワークのスキル習得と実際の業務経験を組み合わせた支援を実施しています。

2026年度の募集内容は次のとおりです。

項目内容
対象県内のひとり親・寡婦・ひとり親家庭の20歳未満の子ども
募集人数30人
支援期間2026年10月3日~2027年2月26日
申込期間2026年8月7日~9月18日
主な支援仕事の紹介、生成AI・ビジネス講座、個別面談など

沖縄県の事業では、実際の在宅業務を1件以上経験することを目標にしています。仕事の受注に挑戦しながら、継続的に働くための知識やスキルを身につける仕組みです。

※いずれも2026年度の募集は終了しています。翌年度以降の実施や募集内容は、各自治体の最新案内を確認してください。

6-4.申込方法は?まずは住んでいる自治体の実施状況を確認

在宅就業推進事業は地域限定の支援なので、最初に住んでいる自治体で実施されているかを調べましょう。

基本的な利用の流れは次のとおりです。

1.自治体の実施状況を確認する

都道府県や市区町村の公式サイトで、「ひとり親 在宅就業支援」「ひとり親 在宅ワーク」などのキーワードで検索します。

見つからない場合は、自治体のひとり親家庭支援担当窓口や、ひとり親家庭支援センターなどに問い合わせましょう。

2.募集要項を確認して申し込む

募集が行われている場合は、対象者、必要なパソコン環境、支援期間、参加条件などを確認して申し込みます。

3.面談・選考を受ける

在宅ワークを希望する理由や、これまでの仕事の経験、パソコンのスキル、希望する働き方などを確認する面談が行われる場合があります。

4.研修や実際の仕事に参加する

利用が決まった後は、個別の支援計画に沿ってスキルを学び、在宅業務に取り組みます。支援期間中には、仕事の状況を報告したり、担当者と目標を見直したりする機会もあります。

なお、事業を実施していても、年間を通じて随時募集しているとは限りません。申込期間が短い場合もあるため、募集時期を確認しておくことが大切です。

6-5.利用する際の注意点|収入の保証やパソコン環境は?

在宅就業推進事業を利用する際は、次の点に注意しましょう。

① 給付金や生活費を支給する制度ではない

この制度は、在宅ワークによって自分で収入を得られるよう支援するものです。

前のセクションまでに紹介した給付金・貸付金とは異なり、参加するだけで決まった金額を受け取れる制度ではありません。

実際の仕事で報酬を得られる場合もありますが、希望する収入が必ず得られるわけではありません。

② パソコンやインターネット環境が必要な場合がある

東京都や沖縄県の2026年度事業では、自宅にパソコンとインターネット環境があることを参加条件としています。

また、仕事内容によっては、Word・Excelなどのソフトやオンライン会議の操作も必要です。

必要な機器やソフトを自分で用意するのか、どの程度の操作スキルが求められるのかを確認しましょう。

③ 在宅ワークでも仕事の時間を確保する必要がある

自宅で働けることは、子育てとの両立を考える人にとってメリットです。

ただし、仕事には納期があり、依頼された内容を正確に仕上げる必要があります。子どもの世話をしながら、いつでも自由に働けるとは限りません。

また、業務委託で働く場合は、雇用契約とは報酬や社会保険などの仕組みが異なります。仕事を始める際には、契約条件や報酬の支払方法も確認しましょう。

6-6.どんな人に向いている?子育てと両立しながら収入を増やしたい人におすすめ

ひとり親家庭の在宅就業推進事業は、特に次のような人が検討したい制度です。

  • 子どもが小さく、毎日決まった時間に通勤するのが難しい人
  • 在宅ワークを始めたいが、何から学び、どう仕事を探せばよいかわからない人
  • 現在の仕事を続けながら、副収入を得る方法を身につけたい人
  • すでに在宅ワークをしていて、仕事の幅を広げたり収入を増やしたりしたい人

一方、すぐに安定した月収を確保したい人や、在宅ワークよりも企業への就職・転職を優先したい人には、一般の求人紹介や就職支援サービスのほうが合う場合もあります。

在宅就業推進事業の強みは、仕事を紹介してもらいながら、将来も自分で収入を得られる力を身につけられることです。

住んでいる地域で実施されていれば、在宅ワークを始める選択肢の一つになります。子育てに使える時間と必要な収入を整理し、自分に合った働き方を検討しましょう。

セクション7|6つの公的就労支援制度は併用できる?給付金・貸付金の注意点

ひとり親家庭向けの公的就労支援制度は、条件を満たせば複数を組み合わせて利用できます。例えば、資格取得中の生活費を給付金で補い、入学や就職に必要な費用を貸付金で確保することも可能です。

ただし、同じ費用や目的を支援する制度は、併用できない場合があります。また、給付金と貸付金では返済の必要性が異なるため、支援額だけでなく、将来の負担も考えて選ぶことが大切です。

ここでは、併用できる主な組み合わせと、申請前に確認しておきたい注意点を整理します。

7-1.どの制度を併用できる?主な組み合わせの早見表

このページで紹介した公的就労支援制度について、主な組み合わせを整理すると次のようになります。

制度の組み合わせ併用の可否
自立支援教育訓練給付金+高等職業訓練促進給付金条件を満たせば可能
高等職業訓練促進給付金+高等職業訓練促進資金併用可能
自立支援教育訓練給付金+高等職業訓練促進資金の入学準備金原則不可
自立支援教育訓練給付金+高等職業訓練促進資金の就職準備金条件を満たせば可能
母子父子寡婦福祉資金+高等職業訓練促進資金併用可能。ただし貸付審査あり
給付金・貸付金+在宅就業推進事業個別の条件や参加状況による

特に確認したいのは、受講費用の支援、修業中の生活費支援、入学・就職準備費用の貸付という3つの違いです。

支援の目的が異なる制度は組み合わせられる場合があります。一方、目的が異なっても併用できない制度があるため、最終的には利用する自治体や貸付窓口で確認する必要があります。

7-2.資格取得を目指す人は、学費と生活費の支援を組み合わせられる

例えば、看護師や保育士などの資格を取得するために、長期間学校へ通う場合を考えてみましょう。

資格取得に必要な費用は、大きく3つに分けられます。

  • 学費・受講費用:自立支援教育訓練給付金などで一部を補う
  • 修業中の生活費:高等職業訓練促進給付金を利用する
  • 入学・就職準備費用:高等職業訓練促進資金などで必要額を借りる

ただし、これらをすべて同時に利用できるとは限りません。

例えば、自立支援教育訓練給付金と高等職業訓練促進給付金は、対象講座などの条件を満たせば併用できます。

一方、自立支援教育訓練給付金を受給する場合、高等職業訓練促進資金の「入学準備金」は併用できません。ただし、「就職準備金」は別の扱いとなり、条件を満たせば利用できる場合があります。

また、母子父子寡婦福祉資金と高等職業訓練促進資金については、国の取扱いで併用が認められています。ただし、それぞれに貸付審査があり、必要な金額や使い道などが確認されます。

このように、利用できる制度をすべて申し込むのではなく、学費・生活費・就職準備費用のうち、何を支援してもらう必要があるのかを整理すると、適切な組み合わせを考えやすくなります。

7-3.雇用保険の教育訓練給付金などとの併用にも注意

このページで紹介した制度以外にも、ハローワークの教育訓練給付金や職業訓練受講給付金などを利用できる場合があります。

ただし、制度名が似ていても、併用の取扱いは異なります。

① 雇用保険の教育訓練給付金は併用できる場合がある

雇用保険制度の一般教育訓練給付金や専門実践教育訓練給付金などは、高等職業訓練促進給付金と併用できます。

また、自立支援教育訓練給付金との併用も可能ですが、両制度から満額を二重に受け取れるわけではありません。

雇用保険の教育訓練給付金を受けられる場合、自立支援教育訓練給付金は、所定の支給額から雇用保険の給付額を差し引いた金額が基本となります。

② 修業中の生活費を支援する給付金は併用できない場合がある

高等職業訓練促進給付金は、次のような生活費支援とは原則として併用できません。

  • 雇用保険制度の教育訓練支援給付金
  • 求職者支援制度の職業訓練受講給付金
  • 雇用保険の訓練延長給付

これらは、いずれも訓練中の生活を支える目的を持つ制度です。

なお、雇用保険の通常の基本手当(失業給付)と、訓練延長給付は取扱いが異なります。名前が似ていても同じ制度ではないため、利用を検討するときはハローワークで確認しましょう。

7-4.利用する際の注意点|申請時期・所得条件・返済義務

複数の制度を組み合わせる場合は、併用の可否だけでなく、次の点も確認しておきましょう。

① 申請時期によって受け取れる金額が変わる

自立支援教育訓練給付金では、原則として受講前に自治体の講座指定を受ける必要があります。

一方、高等職業訓練促進給付金は、申請前の修業期間にさかのぼって支給されない場合があります。

また、高等職業訓練促進資金の入学準備金は、貸付金の交付が入学後になる場合もあります。

制度を利用できる見込みがあっても、入学金や授業料の支払期限までに資金が届くとは限りません。申請時期と実際の入金時期を分けて確認することが大切です。

② 収入や世帯状況の変化によって支給条件が変わる

給付金には、所得や扶養している子どもの年齢などの条件があります。

例えば、就職や副業によって収入が増えたり、再婚や転居によって世帯状況が変わったりした場合、支給額や受給資格に影響する可能性があります。

高等職業訓練促進給付金には、所得基準を超えても一定期間支援を継続できる仕組みがありますが、無条件に受給できるわけではありません。

収入や世帯状況が変わった場合は、自治体に届け出て、給付への影響を確認しましょう。

③ 貸付金は返済が必要になる可能性がある

高等職業訓練促進資金には、取得した資格を活かして5年間働くなどの条件を満たすと、返還が全額免除される仕組みがあります。

しかし、途中で退学したり、資格取得後に所定の就業条件を満たせなかったりした場合は、返済が必要になることがあります。

また、母子父子寡婦福祉資金は原則として返済する制度です。

複数の貸付金を利用する場合は、返還免除を受けられなかった場合の返済額も含めて検討しておきましょう。

④ 自治体によって支援内容や募集条件が異なる

国の制度をもとに実施されていても、具体的な申請方法や審査、貸付条件は自治体や実施機関によって異なる場合があります。

特に在宅就業推進事業は地域限定で、募集人数や支援内容、参加条件も一律ではありません。

また、複数の制度を利用して収入を得る場合は、所得条件などへの影響も確認する必要があります。

セクション8|まとめ|自分に合う公的就労支援を活用して資格取得・就職・収入アップを目指そう

ひとり親家庭が利用できる公的就労支援には、資格取得に必要な受講費用や生活費を支える給付金、入学・就職準備費用などの貸付金、在宅ワークや就職を支援する事業があります。現在の仕事や収入、取得したい資格、子育てとの両立のしやすさに合わせて選ぶことが大切です。

また、複数の制度を組み合わせて利用できる場合もあります。ただし、対象者や所得条件、申請時期、併用の可否などは制度によって異なります。特に貸付金については、返還免除の条件や返済が必要になる場合も確認しておきましょう。

まずは住んでいる自治体のひとり親家庭支援担当窓口で、利用できる制度を確認することをおすすめします。公的な支援を上手に活用しながら、無理のない計画で資格取得や就職、将来的な収入アップを目指しましょう。

なお、当サイトでは、ひとり親家庭向けの返済不要な奨学金リストも公開しています。当サイト限定です。

▶ひとり親家庭の学生むけの返済不要な奨学金リスト

▶シングルマザー・ひとり親家庭の支援制度一覧|手当・給付金・助成金を解説

参考ページ

参考ページ

給付金・貸付金の金額や対象条件、申請方法を整理し、あなたが自分に合う支援を探せるよう分かりやすく解説します。

よろしければシェアしてください
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次